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ふるさと歴史アラカルト

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山口県岩国市

■弥生時代のコップ

現在、玖珂あいあいセンターでは、山口県埋蔵文化財センター巡回展「発掘された山口」を開催しています。これは、山口県埋蔵文化財センターが行った近年の発掘調査成果とともに、過去に発掘した県内各地の出土遺物の中から、選りすぐりの資料を公開するものです。今回はその中から、岩国市内で出土した土器について紹介します。
昭和62(1987)年、現在のテクノポート周東付近で、弥生時代中期の集落跡である河池(かわいけ)遺跡の発掘調査が実施されました。今回紹介するのは、その河池遺跡で出土した把手(とって)付容器、またはジョッキ形土器やコップ形土器と呼ばれている土器です。
土器の大きさは、口径14.4cm、高さ16.1cm、底部10.4cmの逆台形型で、コップのような形をしています。表面をよく観察すると、全体は工具で磨かれ丁寧に作られています。また装飾面では、丸い穴を連続して開けたデザインだけでなく、口を付ける部分に刻み目があり、その下には波状や点の文様が描かれていて、現代の製品に負けないくらいお洒落なデザインになっています。見た目だけではないのがこの土器の特徴で、把手(とって)はただの貼り付けではなく、本体に埋め込んでいるので、頑丈で実用的な作りになっています。
この容器は、遺跡で発見された竪穴住居5棟のうちの一つから出土しました。そばには炉跡(ろあと)(火元)と作業台も見つかっており、これは当時の住人が作業中にこの土器で何かを飲んでいたと想像することもできますが、実はこの土器は県内唯一の発見例で、未だにはっきりした用途は分かっていません。また土器が出土した住居も遺跡内で最も大きく、他の住居の規模や柱穴(ちゅうけつ)数と比べると、一般住居ではない可能性があると指摘されています。
県内で唯一、岩国で発見されたこの土器に少しでも興味を持った人は、玖珂あいあいセンターで実際に土器を観察し、弥生時代にどのような用途で使われていたか考えてみてはいかがでしょうか。

・10月14日(祝)まで『発掘された山口―山口県埋蔵文化財センター巡回展―』を玖珂あいあいセンターにて開催しています

▽岩国徴古館(いわくにちょうこかん)
昭和20年に旧岩国藩主吉川家によって建てられ、その後岩国市に移管された市立の博物館
住所:横山二丁目7-19
【電話】41-0452
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)

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