▼歯周病は万病のもと
山形市保健所 副所長 加藤裕一
厚生労働省は令和5年6月29日に「令和4年歯科疾患実態調査」を公表しました。この調査によると、歯周病は「全年齢層の約2人に1人(47.9%)」「高齢になるほど割合が増える」とのことです。これは、歯周病が多くの世代に共通した問題であることが浮き彫りとなった結果といえます。
歯周病は、心疾患、呼吸器疾患、動脈硬化、認知症、糖尿病、腎臓病、関節炎、低体重出生など多くの全身疾患との関連が報告されています。中でも、糖尿病との関係については、歯周病治療により2型糖尿病において血糖値が改善する可能性があることや、血糖値の改善が歯肉周囲の炎症の改善につながることがいわれています(日本糖尿病学会糖尿病診療ガイドライン2019)。これは、歯周病が全身疾患に少なからず影響を与えることを示した分かりやすい例といえます。
さて、健康寿命を損なう原因の一つは認知症です。そして認知症のリスク因子は、残っている歯の数が少ないこと、さらに歯が少なくなる原因の一つが歯周病となります。
市では、歯周病の早期発見・治療のために唾液検査による歯周病検診を行っています。市内を地区ごとに3分割して、3年かけて実施しています。本年度の対象地区は、市ホームページや広報やまがた令和6年3月15日号と一緒に配布された「山形市健診べんり帳(令和6年度保存版)」に掲載されていますので、ご確認いただければと思います。
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