◆オレンジ色のベストは狩猟者の証
大蔵村には、狩猟者として登録している方は11人、その全員が猟友会に属しています。猟友会は全国に設置されている狩猟者を会員とする団体です。狩猟事故の防止、マナー向上や関係法令改正の要請、狩猟の担い手の育成、野生鳥獣の保護管理など様々な役割を担っています。狩猟を行う際には必ず誤射防止のため鮮やかなオレンジ色の帽子とベストを着用し、狩猟者記章と狩猟者登録証の携帯を義務付けられています。いわばこのオレンジ色が狩猟者の証なのです。
狩猟の対象となる鳥類は26種、獣類は20種に限られており、狩猟期間(山形県はイノシシ・ニホンジカ以外の鳥獣を11月15日~翌2月15日、イノシシ・ニホンジカは11月15日〜翌3月31日)狩猟を行うことができます。
狩猟者となるためには狩猟免許や猟銃の所持許可など様々な資格試験に合格しなければなりません。昨今は狩猟や標的射撃用の猟銃を使用した事件が起こっているため、その所持許可に関する資格試験や調査は年々厳しくなっているのが現状です。
◆猟友会と鳥獣被害対策実施隊
秋田県、新潟県、山形県では小国町が狩猟において有名ですが、そこでは文化の一つとしても盛んに複数人での猟が行われてきました。しかし大蔵村の場合は、そうした一般的な「狩猟」というよりも、「有害鳥獣駆除」が主な活動となっています。この任を担うのが「鳥獣被害対策実施隊」(以下「実施隊」)で、大蔵村猟友会の会員全員が、四月一日に村長により任命されています。農作物被害などが発生した際や、クマやシカ、サルなどの目撃が多発し被害の恐れがある場合に出動し、追い払いや必要に応じて罠をしかけたり猟銃を使用したりして対象となる有害鳥獣の駆除を行います。
そもそも「狩猟」と「駆除」にはどう違いがあるのでしょうか。いずれも野生動物を捕殺するという行為に違いはありません。「狩猟」は、仕留めた野生動物の資源利用(食料とする、毛皮を利用するなど)を目的とし、その手段として捕殺をすることを言います。現在は前述した狩猟期間に決められた動物を、定められた頭数、羽数に従って、決められた猟具で狩猟を行うことが法律で定められています。
それに対して、「駆除」は捕殺すること自体が目的で、野生動物をその場から排除します。「予察駆除」「対処駆除」の2パターンに分けられ、よく耳にする「クマが出た、畑を荒らされた」という被害を受けた場合などに行われるのが「対処駆除」です。「予察駆除」は、生息数自体を減少させなければならないほどの被害が想定された場合、事前に計画を立てて、一定数を捕獲し駆除することです。
大蔵村では県が定める「鳥獣保護管理事業計画」に則って、「大蔵村鳥獣被害防止計画」を策定し、駆除の対象とする鳥獣を下記の10種を指定しています。
対象鳥獣:ツキワノグマ、ニホンザル、イノシシ、ニホンジカ、タヌキ、ハクビシン、アナグマ、ノウサギ、ハシブトガラス、ハシボソガラス
通常ニホンザルは狩猟鳥獣ではないため、捕獲することができません。しかし「大蔵村鳥獣被害対策防止計画」で対象鳥獣として指定され、村長の捕獲許可があった場合は実施隊員が捕獲することができます。
◆被害の傾向と対策
実施隊は有害鳥獣を捕獲するための罠の設置やパトロールを行っており、各隊員が被害をくい止めるため、日夜、腕を磨く努力を重ねています。
大蔵村では、鳥獣被害はあるものの、令和5年度はその被害は自家用作物等にとどまり、幸いにも人身被害は出ていません。これからも被害を出さないために、不用意に近づかない、収穫期の過ぎた果樹などを放置しない、生ごみの管理に注意することや場合によっては電気柵の導入を検討するなどの対策を講じましょう。
◆狩猟に必要な資格・免許
▽狩猟免許(山形県環境エネルギー部みどり自然課)
・わな猟免許(くくり罠、箱罠、囲い罠等で小型・大型の鳥獣)
・網猟免許(むそう網、はり網等で主にカモ等)
・第一種銃猟免許(ライフル銃、散弾銃、空気銃での銃猟)
・第二種銃猟免許(空気銃での銃猟)
▽鉄砲所持許可証(山形県警察)
・猟銃等講習会を受講、同日実施される筆記試験に合格すると射撃教習資格認定申請ができる。射撃教習資格認定証が発行され、射撃教習で一定の成績を上げれば教習修了証明書が取得できる。これを受けて鉄砲所持許可申請を行い、認められれば鉄砲所持許可証が交付され、猟銃を所持することができる。
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