新型コロナウイルスの流行により、全国的に医療の受診を控える動きがありましたが、近年の国民1人当たりの医療費はコロナ禍以前よりも増加しています。今回は自身の健康管理と薬の注意点についてご紹介します。
■セルフメディケーションとは?
平均寿命が延伸し、生活習慣病などが問題になってきた現代では、日々をいかに健康に生きるかが問われています。そこで注目されているのが「セルフメディケーション」です。世界保健機関(WHO)では「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てをする」ことを「セルフメディケーション」と定義しています。
自分自身で健康管理を行うことで、毎日の健康管理の習慣や、医療・医薬品に関する知識が身に付くほか、医療機関を受診する手間が省けるなど、結果的に医療費の節約につながります。
■セルフメディケーションのポイント
(1)自分の健康状態をチェックする
セルフメディケーションの基本は、自分の身体の状態を知っておくことです。また、健康を維持するためには、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠が必要です。定期的に健康診断を受けて結果を把握し、生活習慣を見直すなど、普段の生活から健康管理の意識を高めていきましょう。
(2)かかりつけの医師・薬剤師を持つ
自分の体質や症状に合った薬を適切に使用するために、かかりつけの医師や薬剤師を持ち、アドバイスを受けましょう。これにより、処方される薬との相性や、飲み合わせによる副作用なども防ぐことができます。また、お薬手帳などに服用している薬を記録し、医師や薬剤師と薬の情報を共有しましょう。
(3)本市の事業を活用する
本市では「かむてん健康チャレンジ事業」など、自発的な健康増進を支援する事業や、生活習慣病予防事業を実施しています。健康に過ごせるよう、ぜひ活用しましょう!
■賢く使おう!「OTC医薬品」
ドラッグストアや薬局などで購入できる一般用医薬品を「OTC医薬品」といいます。診察を受けて処方箋をもらう必要がない場合はOTC医薬品を購入し、上手に利用することが必要です。OTC医薬品を購入する際は、お薬手帳を持参して事前にかかりつけの薬剤師に相談しましょう。
なお、OTC医薬品の購入額が一定額を超えた場合、その金額分が課税所得から引かれる「セルフメディケーション税制」という制度もあります。
※セルフメディケーション税制については本紙掲載の二次元コードよりご確認ください。
■お薬手帳は1人1冊に!
医療機関ごとに複数のお薬手帳を持ってしまうと、医師や薬剤師に薬の情報が正しく伝わりません。知らないうちに同じ働きの薬や、飲み合わせの悪い薬が処方されてしまう恐れがあります。
お薬手帳を1冊にまとめると、普段と異なる医療機関を受診する場合や、緊急時・災害時でも、薬や病歴が分かるので安心できます。また、マイナンバーカードを健康保険証として受診すると、過去の処方箋などの情報を、医師や薬剤師に共有することができます。データに基づく最適な医療を受けることができますので、ぜひ活用しましょう。
※マイナンバーカードの保険証利用については本紙掲載の二次元コードよりご確認ください。
■かむてん健康チャレンジでポイントをためて、健康とクオカードをゲット!
◇スマートフォンアプリで参加する場合
本紙掲載の二次元コードを読み取り、「かむてん健康チャレンジ」の参加申し込みを行います。申し込み確認メールが届いたら、スマートフォンアプリ「Health Planet Walk」をダウンロードして起動します。
◇活動量計で参加する場合
健康課健康推進室にてお申し込みください。活動量計購入費として2千円をご負担いただきます。
千ポイントを達成した方で上位200名の方に、2千円分のクオカードを進呈します!
健康づくりに関する情報の詳細は市ホームページにも掲載しています。
■「ポリファーマシー」のリスクについて伺いました!
一般社団法人新庄最上薬剤師会 会長 星利佳(ほしりか)氏
◇ポリファーマシーとは
ポリファーマシーとは「服用する薬が多い」という状態を表す言葉です。この「多い」という表現は漠然としていますが「必要とされる量以上に、多く薬剤が処方されている状態」をポリファーマシーと呼びます。具体的には5~10種類の薬を服用しているなど、いくつかの定義があります。薬剤が5種類以上になると、身体の脆弱(ぜいじゃく)化・機能障害・認知機能の低下などが発生するという報告があるため、5種類以上をポリファーマシーと呼ぶことが一般的となっています。
◇どんな影響があるの?
一般的に、多くの薬を服用すると、薬の相互作用により効果が強く出たり、弱く出たりする場合があります。また、血圧が想定よりも下がってしまうなどの副作用が出ることもあります。さらには、ポリファーマシー患者は、転倒発生数が多いというデータもあります。
このように、ポリファーマシーの状態では、副作用による弊害が出ることから、同様の効能を持つ薬など、不必要な薬を減らし、リスクを減らす必要があります。
◇ポリファーマシーを防ぐには、どうしたらいい?
処方されたにもかかわらず、薬を正しく服用していない方や、「こんなに薬を飲んでいて大丈夫かな?」という不安を抱えながらも言えずにいる方もいると思います。薬の服用について不安な時は、ぜひかかりつけの薬局にご相談ください。また、薬を減らす判断を自分で行うことは危険です。必ずかかりつけの医師や薬剤師へ相談いただき、様子を見ながら少しずつ薬を減らしていきましょう。
最近では、サプリメントを飲まれている方が多くいます。サプリメントの種類によっては、服用している薬の効果を強めたり、弱めたりするなど、飲み合わせの悪いものがあります。服用の際は医師や薬剤師に相談しましょう。
ポリファーマシーを未然に防ぐためには、医師や薬剤師との情報共有が重要です。おくすり手帳を一冊にまとめ、忘れずに持参しましょう。そして気軽に相談できるかかりつけ医とかかりつけ薬剤師を持ちましょう。
詳しくは、健康課国保医療室へ。
【電話】29-5792
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