■財政指標で見る町の財政状況
町の財政状況は健全化判断比率※をはじめとしたさまざまな指標により客観的に分析することができます。こうした指標を過去3年間の推移や県内町村との比較で分析します。
○財政力指数(自前の収入でやりくりできるか)
他自治体と比較して、当町は必要な経費を自主財源で賄える割合が低いことが分かります。町民税や固定資産税などの町税収入が少ないことが主な要因です。
…良くない
自治体経営に必要なお金を実際の収入で割った値(3カ年の平均値)で、数値が大きいほど余裕がある。
○経常収支比率(自由に使えるお金があるか)
自由に使えるお金として算定される地方交付税の額が昨年と比べて多かったことから改善されましたが、依然として県平均よりも高いままとなっています。
…良くない
毎年度ある収入に対して、必ず行う支出の割合を示したもの。数値が低いほど柔軟に事業に対応できる。
○実質公債費比率(借金返済に窮していないか)
8年連続の上昇となったものの、県平均よりは低い数値で、依然として良好な水準を維持しています。返済費用の一部が地方交付税に算入される制度を有効活用しているためです。
…良い
一般会計の公債費(借金返済費用)が重すぎないかを見る指標。3カ年の平均値で算定。数値が低いほど良好。
○将来負担比率(将来世代にツケを先延ばしにしていないか)
前年度に続き、比率はありません。借金などの将来負担額よりも、貯金や将来地方交付税として算入が見込まれる金額の方が多いためです。
…良い
一般会計の町債(借金)や、将来支払う可能性のある他会計負担金の程度を指標化したもの。数値が低いほど良好。
※健全化判断比率…実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4指標の総称。公営企業の経営健全度を表す資金不足比率とともに、毎年議会への報告と公表が義務付けられています。
健全化判断比率のうち、実質赤字比率、連結実質赤字比率については県内全ての市町村で比率がありません。
■まとめと今後の取り組み
実質公債費比率、将来負担比率は健全段階を維持しているものの、近年の大型事業により町債(借金)が増えています。それに伴って公債費(借金返済費用)が増え、経常収支比率の上昇につながっています。
今後も、大型事業として観光施設や義務教育学校の建設が控えており、公債費の増額が見込まれます。その実施にあたっては、国庫支出金をはじめとした特定財源の確保に努め、各種基金を有効活用しながら町債発行を抑制し、健全な財政運営に努めていきます。
■費用の未来
約59億円の歳出となった昨年度。今年度からはさらに、義務教育学校の創設、Asahi自然観コテージ村の再整備が進められます。
そこで気になるのが事業にかかる費用。ここでは、中でも注目を集める前記2つの事業に、どれほどの費用がかかるのかを解説します。
○令和6年度から10年度までの歳出見込
※1 新たな事業の開始や現行の行政サービス向上のため、一時的または臨時的にかかる経費(例:施設改修費、少子化対策費、定住対策費など)
※2 毎年度固定的にかかる経費(例:職員人件費、光熱水費、公債費など)
◆教えて!費用の内訳
義務教育学校の創設、Asahi自然観コテージ村の再整備をピックアップします
○義務教育学校創設の総事業費(事業期間:令和6~10年度)
60億円(概算)
主な事業とかかる費用:
※60億円(税込)を上限とする
・建築費…約44億円
・外構工事費…約11億円 など
Q.ほかの事業と比べて多額の費用。どう賄うの?
A.約9割に補助金や町債を活用します。
下のグラフのとおり国庫補助金や町債、基金で賄います。また、町債※3は返済額の約7割※4が地方交付税として算入されるため、実際の町の負担は軽減されます。
長岡昭博 主査
○Asahi自然観コテージ村再整備の総事業費は約7億円(事業期間:令和6~8年度)
コテージ村の再整備事業には、6億8,930万円が必要となります。そのうち2億8,940万円を国庫補助金、3億2,380万円を町債、7,610万円を基金で賄います。
町債は、返済額の8割※4が地方交付税として算入されるため、義務教育学校創設と同様に町の負担は軽減されます。(事業の内容など詳細については、本紙令和6年6月号に掲載しています。)
松田英美 主事
※3 建設事業のため、国から借り入れるお金
※4 義務教育学校創設とコテージ村再整備では、活用する町債の種類が違うため、交付税算入率に違いがあります。
問合せ先:総務課財務係
【電話】67-2111
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