飯豊町をモデルにした温室効果ガス排出量・吸収量の見える化の取り組みにより分かった、水田からの温室効果ガス排出削減対策とその効果の整理を実証実験的に進めていきます。
◆秋耕の実証実験
飯豊町は「ゼロカーボンシティ宣言」をしており、2050年までにゼロカーボンを実現することを目標としています。
飯豊町の温室効果ガス排出量・吸収量の見える化を実施した際に、水田からも温室効果ガスが排出されていることが分かりました。基本的には、稲刈り後のわらを田植えが始まる時期にすき込み(※)ますが、そのすき込んだわらを土中の微生物が分解して、温室効果ガスの一つであるメタンガスを発生させます(本紙図参照)。
一方で、水が張られていない、酸素が土の中へ浸透する状況下では、メタンガスの発生は抑制されることが知られており、秋耕という、秋の稲刈り後、すぐにわらをすき込む作業を実施することで、メタンガスの発生を抑制することができます。
水田からの温室効果ガス削減は非常に重要な取り組みと考えており、実践に向けて秋耕による実際の温室効果ガス削減効果や農作物へ与える影響を整理し、農家の方にメリットがあることを伝えていくことが普及には欠かせません。
また、このような施策を実施した農作物に付加価値を付けて販売することで、農家の方々の役に立つことを示していきたいと考えています。そのためにも、試験的に施策の効果や影響・販売への期待値を整理し、広報していきます。
今回は、農事組合法人沖のかもめ(中地区)の協力のもと、沖公民館付近で秋耕を行いました。
秋耕を実施した箇所と秋耕を実施していない周辺の水田に対して左図(本紙参照)に示すチャンバー(箱)を設置し、それぞれ水田から出てくる、温室効果ガスを採取することで、秋耕による温室効果ガス削減効果を確認します。加えて、太枠箇所で生産された農作物を分析することで、性状や収量への影響についても整理します。今回の取り組みは町内を中心に県全体で共有していくことで、水田からの温室効果ガス削減のノウハウを広く浸透させることができたらよいと考えています。
(※)肥料などを加えながら耕すこと
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