■サンシャインレッドが本格デビュー
フルーツ王国山梨に“赤い宝石”と呼ばれるブドウが誕生しました。
県が開発したオリジナル新品種「サンシャインレッド」です。
口に入れると、“マスカット香”に加えて華やかな香りが立ち上り、噛めばジューシーな甘みが口いっぱいに広がります。
その美味しさを全国に広げようとやまなしのブランド戦略が始まっています。
〔サンシャインレッドとは〕
「シャインマスカット」と山梨県で育成した赤系ブドウ「サニードルチェ」を掛け合わせた、県のオリジナル品種。15年にわたる厳しい選別を繰り返し開発された。2022年1月に品種名「甲斐ベリー7」が品種登録され、2023年8月に「サンシャインレッド」の名称が商標登録された。糖度が19度程度と高く、種なしで皮ごと食べられるのも特徴。
◇今年の初値はキロ1万円!
7月上旬、スマートフォンを手にしたJA全農やまなしの担当者が興奮していました。「キロ1万円を超えました!」。品質最高ランクの“特秀”を獲得したハウス栽培のサンシャインレッドが、東京・大田市場の初競りで1キロ当たり1万円超の値が付いたとの知らせが届いたのです。百貨店などでの販売価格は2~3倍になることもあり、贈答品などでの需要も見込まれます。
大人気のシャインマスカットを超えたい――。そんな思いから誕生した「サンシャインレッド」は鮮やかな赤色が目を引く、山梨オリジナルの新品種です。
食味も香りもいいとあって、2022年に初めてふるさと納税の返礼品として取り扱った際は、一房の寄付額が10万円にもかかわらず数日で品切れ。テレビでも紹介されるなど注目を集めました。
赤い果皮色は、収穫前のブドウ畑に白いシートを敷き日光の反射を利用して色づけします。一房にまんべんなく着色させる作業は難しく手間もかかります。しかし、県担当者は「2023年度までに県内のブドウ農家に約1万5000本の苗木を供給しましたが、“もっと供給してほしい”と言われています。かなり期待感が大きい」と話します。
◇生産拡大でブランド化
新たな“山梨ブランド”として全国に認知されるためには、多くの人に食べてもらい、美味しさを理解してもらわなければなりません。そのためには、“まとまった量”の“高品質”なブドウを安定して出荷できる体制を整える必要があります。
しかし、ブドウが持つ本来の特性を十分出せるまでには最短でも5~6年かかるため、これまでは生産量が少なく、地域の直売所など限定されたところでしか販売できませんでした。
そこで県はJA全農やまなしなどと連携してオリジナル品種の生産拡大に取り組む「山梨県オリジナル品種ブランド化推進会議」において、苗木の計画的な配布や栽培の指導などを一括して行うことで早期の産地化を目指しています。
これらの取り組みを継続することで、昨年3・7トンだった出荷量から、今後は年々増えていくと期待しています。
生産拡大を進める一方で、こうしたオリジナル品種は、希少価値を保ち、高い価格を維持することも重要で苗木の管理を徹底し栽培を県内に限定する必要があります。
苗木を生産者が購入するときには「他の人に譲渡しない」などの取り決めを定めた誓約書を提出してもらい、県外への流出を防いでいます。
◇全国へのPRがスタート
収穫量の増加とともに、サンシャインレッドのPRが本格的にスタートしました。長崎幸太郎知事が直接関東・関西の主要市場を訪れて関係者に向けてアピールしています。
ブドウ市場の5割超を緑色のシャインマスカットが占める中、赤色のサンシャインレッドが加わります。並べて箱詰めすれば見栄えが良く、購買意欲の向上が期待できます。
さらに、県では新たな黒系ブドウの開発も進めています。将来は緑・赤・黒3色の皮ごと食べられるブドウが並ぶ光景が見られるかもしれません。
問い合わせ先:販売・輸出支援課
【電話】055-223-1602【FAX】055-223-1599
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