■〔ルポ〕果樹と野菜の生産地を巡るバスツアーに密着
ー農業をはじめようー
農家の高齢化や後継者不足などの課題解決につなげようと、山梨県は、県内での就農を希望する方向けに農業の魅力を体感してもらうバスツアーを始めました。
現場を訪れて先輩農家と話し、作物を育てる喜びや難しさ、農業の始め方や就農後の生活について知ることができます。
他にも農業を知る・体験できる機会を設けています。
今回は7月28日に開催したバスツアーの様子をお伝えします。
◇AM9:30 甲府駅北口からバスが出発
ツアー16人のうち12人は県外から参加。20代の夫婦や50~60代の1人参加など幅広い年齢層です。「農業は初めて」という人はもちろん、すでに経験者で「他の作物にも興味がある」という人もいます。
道中は配布されたパンフレットを読んだり、お互いに情報交換したりしながら目的地に向かいます。
◇AM10:15 笛吹市境川町にあるモモ農園に到着
見学先の農園を経営する株式会社斎庵は、モモなどの果樹園を約6・7ha、イチゴ畑を0・3ha作付けしています。専務取締役の五味隆さんが実際にモモの栽培方法などを説明した後、質問タイムになりました。
「モモの年間管理スケジュールは?」という疑問を皮切りに、「どんな人が独立できるのか」「獣害対策や病気対策は何をしているか」「閑散期の収入について」など、真剣な質疑応答が45分間続きます。
五味さんが「収穫時期は、毎日が猛暑との闘いです」と言うと、参加者から「年齢的に体力に自信がない」と不安の声が上がりました。そう不安をもらした女性は50代。子育てが一段落して、“第二の人生で農業をやりたい”と東京からやってきたそうです。
「自分のできる範囲でも大丈夫。うちの会社では60代で就農した人もいます」その答えに、周りの参加者たちも胸をなで下ろします。
◇AM11:00 モモの収穫体験
「ねじらず、指で押さえず、手のひらで包み込むようにもいでください」とアドバイスを受け、いざやってみると――。
「あれ、とれない!」「傷付けそうで怖い」
枝にしっかりくっついたモモはそう簡単にとれません。参加者たちが悪戦苦闘してようやく一個もいだところで、「これを毎日2t収穫しています」と五味さん。実際にやってみると農業の大変さが分かります。
その後、就農7年目の若手社員からも話を聞き、見学は終了。昼休憩後、二つ目の見学場所へ向かいます。
◇PM1:30 富士河口湖町のスイートコーン畑に到着
スイートコーン(3ha)とブロッコリー(0・9ha)を生産している相原雄飛さん。埼玉県から、北杜市に「地域おこし協力隊」として移住し、その後富士河口湖町に農地を得て就農7年目です。7~9月上旬までは朝2時からスイートコーンを収穫し、10時までに出荷します。
新規就農者には果樹が人気ですが、富士北麓地域で作られる地域野菜ブランド「富士山やさい」はレストランやホテルからの注文が多く、販路拡大のチャンスがあります。
相原さんは「販路や収穫量など、悩みがあれば農協などと協力して解決できます。まずは自分がどんな農業をやりたいかしっかり考えることが大切」と言います。
◇PM2:00 スイートコーンの収穫体験
スイートコーンは樽型が美味しい形。根元を持って、押し下げるようにもぎ取ります。「ひとり1本お土産にしてください」と嬉しいサプライズに、参加者たちは葉が生い茂る畑の中に分け入って姿が見えなくなります。
大きなスイートコーンを収穫できたという30代夫婦は、「都内で会社員をしていますが、いつか農業をしてみたい。初めての農業体験でしたが、少し夢に近づいたかな」と笑顔でバスに戻りました。
◇PM4:30 甲府駅で解散
参加者の1人は「農業を仕事にするビジョンが明確になった」と感想を話していました。リアルな現場に行ってみなければ分からない、“農業の苦労や情熱”を実感するツアーでした。
◆農業をはじめる方を全力で応援します!
◇情報収集
山梨県ではどんな農業をしているのかな?
ホームページだけじゃない。座談会やバスツアーで生の声を聞けます
◇就農相談
就農の悩みはさまざま。農地、技術研修、資金など幅広い相談に応じています!
◇農業体験
自分はどんな農業に向いているのかな?
農家や農業法人のほか、県立農林大学校で短期間から体験できます
◇技術習得
安定した生産には技術研修が必要農家や県立農林大学校、農業法人などで栽培技術を学べます
◇就農準備
計画、農地、機械、資金など準備するものはたくさん計画の作成や事業の活用などお手伝いします
◇経営開始
収入が安定するまで数年
技術や経営指導など経営を軌道に乗せる支援を行います
◎まずはこちらにご相談ください!
ワンストップ相談窓口(オンライン相談も可)
県就農支援センター【電話】055-223-5747
問い合わせ先:担い手・農地対策課
【電話】055-223-1621【FAX】055-223-1604
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