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自治体の皆さまへ

〔特集2〕人口減少に立ち向かう(3)

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山梨県

◆[CHECK]「プレコン健診」スタート
将来の妊娠・出産に備えて健康管理を行うことをプレコンセプションケア(プレコン)といいます。
若い世代が妊娠・出産に関する正しい知識を持ってもらえるよう、県は職域などでの健康診断とあわせた「プレコン健診」の実施を支援していきます。

若い女性たちにとって、婦人科を受診することは心理的なハードルもあり、自分の身体の状態を知る機会が少ないのが実情です。ただ、重い生理痛は日常生活に支障をきたすだけでなく、放置すると子宮内膜症などを引き起こす可能性があるため、早めの検査が必要です。
そこで県は、県内企業の職域での健康診断のオプションとして「プレコン健診」を始めました。18~39歳の女性希望者はeラーニングでプレコンセミナーを受講後、職域健診の血液検査※で甲状腺機能や感染症、卵巣の予備能をみるAMHなどを調べることができます。山梨大学医学部とも連携していて、必要に応じ医師にオンラインで面談することも可能です。プレコンセミナーは男性も受講することができます。
なお、職域健診で対応できない方、専業主婦や個人事業主の方などには、協力医療機関でプレコン健診を実施します。

◇自分の身体を知る=“プレコン”
8月5日と6日、県は包括連携協定を結ぶ住友生命と協力し、「プレコン啓発セミナー」を初めて開催しました。この両日は、山梨中央銀行の若手行員に対してプレコンをテーマに教育研修を実施し、2日間で約70人が研修を受けました。
受講生の男女の比率はほぼ半分ずつ。男性に関心を高めてもらうことが重要な点です。生理前にホルモンバランスが崩れると女性は心身に不調を来します。男性もそのことを知っていれば、家族や同僚、パートナーの立場になって仕事や家庭をサポートすることができます。
男性不妊になりやすい生活習慣をクイズ形式で考えたり、実際にライフデザインシートに自分のライフプランを書き込んでキャリアアップのタイミングを検討してみたり――。参加者たちは真剣に自分の健康やライフプランと向き合っていました。
男女ともに健やかなライフプランを実現するために、プレコンを身近な存在にして、今できることから始めていきましょう。
※一部基本健診による尿検査を含む

◆[TOPICS]目指せ男性育休100%
皆さんは、山梨県庁の男性職員の育児休業取得率をご存じですか?
2021(令和3)年度は14・8%と、全国平均の40・7%を大きく下回っていました。
ところが、2023年8月以降は91%※に達しています。
いったい何が起きたのでしょうか。

「人口減少危機突破宣言」(2023年6月9日)に続いて、長崎幸太郎知事は同年7月、男性職員の育休取得率向上を目指す取り組みを発表しました。その柱となるのが、「3カ月の育休取得原則化」。“育休革命”ともいえる新たな取り組みのスタートでした。
男性職員が配偶者の出産に伴い、有給休暇、時短勤務、テレワークを組み合わせ、最低3カ月間、在宅で育児に関わることを目指すという全国でも類を見ない取り組みです。

◇男性育休を「当たり前」にする
これまで男性職員からは「職場に迷惑をかける」「業務が繁忙」といった理由で、育休取得をためらう声が聞かれました。しかし、育児は夫婦で分担すべきことです。人生の最も貴重な時期に休めないのは、職員個人の責任ではなく、職員の意識や行動に大きな影響を与える組織の問題だと山梨県は考えています。育休を取得しやすい環境づくりのために、山梨県は人事上の仕組みを導入しました=下図参照。
男性職員は出産予定日の3カ月前までに、所属長と面談し、「イクメン」になるための計画を練ります。原則として、育休や在宅勤務をフレキシブルに組み合わせて最低3カ月間在宅で育児に携わるようにするのです。育休を取れば収入は減りますが、県が用意した収入シミュレーションシートなどを活用しながら、家計の実情に見合ったプランを作成します。
職場では、上司らが男性職員に安心して育休を取ってもらえるよう、きめ細かなサポートを行います。管理職に昇任した職員については、毎年度マネジメント研修の受講を義務付け、管理職の意識改革にも積極的に取り組むことになりました。

◇なぜ「3カ月」?
ところで育休期間が3カ月なのは、なぜでしょうか。それは1カ月では「育児の大変さ」しか実感できず、2カ月では「少し育児のことが分かってくる」段階に過ぎないからです。3カ月間、育児にじっくりと向き合うことで、初めて「育児の楽しさ」を実感できるようになり、夫婦の絆、そして家族の絆がより一層深まると考えました。
こうした取り組みの結果、昨夏以降の男性職員の育休取得率は91・5%にまで上昇。2024年度は100%を目指します。山梨県はこの取り組みが県内の市町村や企業にも広がり、地域全体での少子化対策や働き方改革が進むことを期待しています。
山梨の未来のために、男性が育休を取得しやすい環境を地域全体で協力してつくっていきましょう。

男性職員の育休取得率(山梨県庁知事部局)

◇育児休業+休暇を1カ月以上取得した職員の上司・同僚に対するインセンティブ
(1)人事評価で加点
管理職等のマネジメントを評価し、人事評価において加点
(2)勤勉手当を加算
業務応援を行った同僚職員に手当を加算
(3)時間外勤務目標時間を追加配分
業務応援により増加した業務に対して別枠配分
※2023年度の育休取得率(2024年5月末時点での取得予定を含む)

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