「もしものとき」のことを考えたことがありますか?
心の余裕があるときに、じっくりと考える時間を持ち、そして、あなたの考えを大切な人に伝えてみませんか?
■人生会議[ACP]とは
「人生会議」という言葉を聞いたことがありますか。
人生会議とは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのことです。もともとは、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という名称で普及啓発が進められていましたが、より馴染みやすい言葉として浸透するよう、平成30年から「人生会議」という愛称で呼ばれています。
■自らが希望する医療・ケアを受けるために
人は生きている限り、誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やけがをする可能性があります。一方で、命の危機が迫った状態になると、約7割の人が医療・ケアを自分で決めたり、望みを人に伝えたりすることができなくなると言われています。
また、令和4年11月に厚生労働省が行った「人生の最終段階における医療に関する意識調査」によると、「人生の最終段階における医療・療養について考えたことがある」と回答した人は全体の5割程度だったことが分かっています。
いつまでも自分らしく暮らすために。どこで、どう生きたいか。どんな医療やケアを受けたいか。自分の思いや考えを大切な人と共有し、「もしものとき」に備える。健康で元気な今だからこそできる「人生会議」。
これからの人生について考えてみましょう。
■もしものとき
健康で元気に毎日を過ごしていると、その日常が当たり前で、日ごろから自分の「もしものとき」について考えられる人は少ないのが現状です。それでも人生は必ず終わりを迎えます。誰にも最後のときは訪れます。しかしそれが明日なのか、数年以内なのか、何十年も先なのか、そのとき医療や介護が必要な状態なのかはわかりません。
よりよい人生を送るために、まずは一度、自分自身の考えを整理してみましょう。人生の最終段階が訪れたとき、自分はどうしたいのか、何を優先したいのかを考えてみる。そのことを信頼している人に伝える。この取り組みが、いざというときに自分や家族の助けになります。いつまでも自分らしく暮らすために、「人生会議」をしませんか。
■人生会議[ACP(アドバンス・ケア・プランニング)]
・大切にしていることや望んでいること、どこでどのような医療・ケアを受けたいか、前もって考えておくこと
・自分の考えや想いについて、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有しておくこと
※このような取り組みは、個人の主体的な行いによって進めるものであり、知りたくない、考えたくない人への配慮は必要です。
■なぜ、人生会議をしたほうがいいの?
思わぬ事故や病気によって、あなたの思いや考えを伝えられなくなる、そんなときがいつ来るかわかりません。心の余裕があるときに考える時間を持つこと、また、あなたの考えをご家族など信頼できる人と話し合ったり、伝えたりしておくことで、あなたの希望が尊重されると同時に、あなたの信頼する人の負担を減らすこともできます。
もしものときの、心づもりのため
それまでの時を、より良く生きるため
■いつ、人生会議をするの?
特に決まった時期はありません。気になったときに話をしてみましょう。ただし、早すぎても現実味がなく、取り組みづらいかもしれません。また、「終末期患者の70%は、意思決定が不可能である」と言われていることから、自分の意思を伝えることができるうちに始めるのが良いでしょう。
そもそも、人生は最終段階ばかりではありません。そこに至るまでの人生をどのように生きたいのか、周囲の人にどのようにサポートしてもらいたいのかを話し合っておくことも重要です。
■どのような話をするの?
話し合う内容に決まりはありませんが、例えば、こんなテーマで話し合ってみてはいかがでしょうか?
「今までの自分・好きなもの・大切にしてきたこと」
「これからの自分・大切にしたいこと」
「今、不安に思っていること(介護・医療・相続など)」
人生会議のテーマは、これまでの人生と生活の中にあります。日々の生活やこれまでの人生の中にあるピースを集め、つなぎ合わせていくことで、もしものときにたとえ本人に直接確認できなくても、その意向を推しはかり、尊重しやすくなります。たくさん話をして想いをつなぎ合わせましょう。
■もっと詳しく
厚生労働省のホームページには、人生会議について、より詳しい情報が記載されています。再現動画や進め方など、人生会議をする上での参考にしてください。
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