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みなさんの健康

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山梨県中央市

◆顎(あご)の歪みと顎(がく)変形症
山梨大学医学部附属病院 歯科口腔外科 助教 五味佳蓮

みなさんは歯の見た目、歯並びを気にされることは多いでしょうか?最近では、マウスピース矯正などの普及もあり、歯列矯正治療をされている人も多いように感じます。しかし、歯列矯正だけでは歯並びの改善には限界があることがあります。それは、顔面の骨格自体の歪みが原因とされていることがあります。
顎変形症とは上あごや下あご、あるいはその両方の大きさや形態の異常によって咬み合わせの異常がある状態をいいます。一般的に「出っ歯」や「受け口」といわれている症状を示しています。例えば、下顎前突症といわれる病気の症状は下あごが上あごに比べて前に出ている状態のことをいいますが、歴史を見てみると「ハプスブルク家のあご」とも呼ばれ、オーストリア王家のハプスブルク家に家族性の特徴としてみられていました。これは以前のオーストリアでは血族結婚の多い家系と知られていたこともあり、遺伝的要因が大きく関与しているともいわれています。
このように顎変形症の原因は遺伝的要因がよく知られていますが、その他にも環境的要因や口呼吸、舌癖など幼少期からの生活習慣や癖が関連していることがあります。指しゃぶりや舌を前に出す癖があるとそれに伴って顎の成長にも影響を与えます。そのまま成長し大人になると、審美障害はもちろんのこと、機能障害(噛み切れない、食べることに時間がかかる)や顎関節症(あごの痛み、口が開けづらい、カクカク音がなる)などを伴うことが非常に多いです。
治療としては、幼少期であれば成長に合わせて矯正治療を行うこともできる場合がありますが、骨格性の異常がある場合には手術を組み合わせた矯正治療も、現在の日本では保険診療が認められています。専門の矯正歯科医の先生と私たち口腔外科医が連携し治療を行っていきます。矯正治療や手術方法はいろいろな方法がありますが、今では医療技術の進歩も著しく、手術前に撮影したCT画像を用いて手術後の状態を、3Dシミュレーションを行うことが可能になっています。また、パソコンのソフトウェア上で、手術で操作する位置や近くを通る神経や血管の位置まで正確にシミュレーションすることが可能です。
今では医療の進歩によって、より安全に、より良い技術を患者様へ提供することができるようになっています。興味をお持ちの人や少しでも気になる人がいらっしゃいましたら、かかりつけの歯科医院を受診の際に相談してみるのはいかがでしょうか。

企画 一般財団法人 里仁会

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