■低体温症とは?
辺見診療所 所長
三井 梓
低体温症とは、深部体温が35度未満であることを指しています。4段階に分類され、重度とは24度未満で、意識など生命的な反応がない状態となります。令和2年の熱中症の死者数1、528人に対し、低体温症の死者数は1、054人とのことです。平成29年は1、371人、平成30年は1、278人、令和元年は1、086人でした。熱中症アラートはよく聞きますが、低体温症も忘れてはいけない病態ということです。また、熱中症は全年齢にみられますが、こと死亡者となると、その80%(令和2年854人)は65歳以上の高齢者が占めています。
低体温症は、激しい震えや筋肉の硬直、重くなると意識障害がみられます。重症では、不整脈が発生し、死に至ることがあります。「冷え性」は、手先指先の冷たさは感じますが、深部体温は低下していません。
高齢者は、寒い時に震えて熱を作る力が低下しますし、やせによって、熱が放散しやすくなっています。筋肉量も減って、熱産生しにくくなっています。運動不足も追い打ちをかけます。乳幼児は、うまく訴えられない可能性があります。周囲の方が気を付けてあげないと、偶発性低体温症となってしまいます。
深部体温が32度を下回る中等度の低体温症となりますと、震える力はなくなり、意識障害も発生してきます。乳幼児や高齢者では、28度以下になると、死に至ることがあります。
さらに、屋内での発症例が多いのです。実に75%は屋内発生といわれています。また、低体温症の発症平均年齢は、70歳を超えています。一人暮らしでなくとも、一人部屋で暮らしている65歳以上の高齢者の生活温度環境を見直してみることが重要です。また、高齢者に多いというと、寝たきりの方に多い印象があるかもしれませんが、実は、自立している方のほうが多いのです。
室温は20度以下になると発症しうるといわれています。したがって、20度以下になる可能性がある場所にいる高齢者や乳幼児、病弱な方から、目を離さないようにしましょう。
意識障害を伴うような低体温症の方を発見した場合は、すぐに救急要請しましょう。
問合せ:辺見診療所
【電話】25・2006【FAX】20・2044
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