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ふるさとの誇り203 ○(まる)博レポート

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山梨県南アルプス市

■国指定史跡「御勅使川旧堤防(将棋頭・石積出)」桝形(ますがた)堤防のひみつ
先月のふるさとの誇りでは、桝形堤防は、国指定の史跡(文化財)を構成する、かつての御勅使川の堤防跡のひとつで、御勅使川を暗渠(あんきょ)(地下水路)で横断する徳島堰の水を下流の水田へ分水する施設を守る役割があったことを紹介しました。今回は、その歴史や機能について、もう少し詳しく深掘りしてみたいと思います。

全体図のとおり、かつてはそれぞれの村への分水口を守る3ヶ所の桝形堤防がありましたが、現在は六科地区へ向かう1ヶ所のみが残されています。この場所は、現在も下流の六科地区などに徳島堰の水を分ける重要な施設として機能しており、国の史跡(指定文化財)になっています。
水路を途中で分水する場合、通常そこに分水桝を設けることが一般的なため、水路の分水施設そのものを「桝形」と呼ぶことがあり、桝形堤防の名称はこれに起因するともいわれています。
徳島堰は、18世紀初頭には、木製の箱樋(暗渠)で御勅使川を横断していたことが明らかにされています。その後、石積みの水路に木製の甲蓋(こうぶた)、アーチ状の石積み、コンクリートへと進化し、現在に至ります。また、整備に伴う発掘調査の結果、現在は埋没していますが、堤防の周囲は、基底部を保護する根固(ねがため)として、明治40年(1907)前後から山梨県に導入された「木工沈床(もっこうちんしょう)」という工法が用いられていたことがわかりました。整備された桝形堤防では、その一部が掘り出され、実際に見学することができます。桝形堤防やその他の御勅使川の史跡にについて、さらに知りたい方はぜひ、ふるさと文化伝承館のテーマ展をご覧ください。

▽木工沈床
木工沈床は、堤防の基底部が流されるのを防ぐ根固めとして、木で造った枠の中に石を詰めた構造をしています。山梨県では、明治40年頃から用いられるようになったといわれています。破損、修復を繰り返してきた桝形堤防の歴史の中で、発掘調査によって木工沈床が確認されたことにより、現在のこる石積みは、この時期のものと推定することができました。なお、現地では、朽ちてしまった木枠を右のように白い石で表現しています。

▽暗渠構造の移り変わり
徳島堰の開削当初は、河川敷に板を並べて水を通す板堰(いたせぎ)という手法を用いて堰の水を導いていました。その後18世紀初頭になって木樋を用いた暗渠構造にとなったことが知られています。

※詳細は本紙P.14~15をご覧ください。

◆〈告知です〉ふるさと文化伝承館テーマ展 史跡御勅使川旧堤防(将棋頭・石積出)指定20周年および桝形堤防史跡整備完成・一般公開記念
てっすげえじゃんけ!桝形堤防、将棋頭、石積出
期間:令和6年5月24日(金)~12月18日(水)
場所:ふるさと文化伝承館(木曜日休館)

史跡御勅使川旧堤防は日本の治水・利水を代表する文化財です。その史跡を構成する桝形堤防の整備が完了し、3月28日から一般公開を開始しました。それを記念して、現代の果樹王国南アルプス市につながる史跡の歴史、魅力を紹介します。また、桝形堤防の1/100模型を初展示。来館された方にも模型製作に協力していただき、日々模型を完成させていきます。

ふるさと文化伝承館
【電話】055-282-7408
南アルプス市野牛島2727

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