2022年広報8月号で掲載した、石割山登山道補修特集を覚えているでしょうか?
本活動も1年半が経過し、施工した場所で様々な成果や発見がありました。
自然の力には、驚くばかりです。
現在、石割神社から山頂までの大規模な施工は完了し、植生復元を促す補修をしつつ、崩壊の激しい、石割山山頂から平尾山の道に着手しています。
今回は、整備の経過を報告させていただき、私たちが目指す登山道補修の考え方をお伝えできればと思います。
■石割山登山道補修を始めた人たち
私たちの目指す登山道補修の考え方
NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部 三浦 務さん
「私たちが目指す登山道補修は山の環境を守る手段であって目的ではありません」活動を始めた当初は講師の大雪山山守隊岡崎さんの言葉が理解できず、ただがむしゃらに道を直し完成後のビジョンがありませんでした。講師の言葉がわかってきたのは、スタートから1年が経過し施工した場所で植生復元の兆しが見えてきた頃です。
傾斜地にある登山道は、人の踏圧や流水、霜柱などがきっかけで土壌流失が始まり、土壌に根付いていた植生が失われ崩壊します。手当てをせず利用を続ければ、崩壊が加速します。人の行為がきっかけで自然現象がネガティブに動き出したならば、人の手で原因を探り適切な手当をすることが必要であり、それをきっかけに自然自身がポジティブに働き安定を取り戻し、結果として登山道も安定するはずです。自然から遠ざかり現代的な生活に慣れた我々が、これを理解するのに1年半の時間と同じ現場に何度も通い観察することが必要でした。
人間は楽な道を選びます。そんな登山者心理を理解し、歩きやすい道をデザインすることも植生を踏ませないためには重要であり、労力を惜しまず丁寧な作業を継続するには楽しむことも大切です。そんな思いを宣言文として「石割山 2030」に纏めました。
平野地区をはじめとする山中湖村の方々には多方面でご協力いただき本当に感謝しております。長く続けていくため、今後ともご支援よろしくお願いいたします。
▽NPO法人富士トレイルランナーズ倶楽部
富士山麓の登山道(約160km)をつなぐトレイルランニング大会(Mt.FUJI100 旧UTMF)の運営にかかわり富士山麓の環境活動を主に行う団体です。日本の財産である富士山の文化と自然の素晴らしさを次の世代につなげるため、2022年から環境省との協働事業を中心に、登山道で「植生の復元」を目指し多くのボランティアと共に活動中です。
■石割山登山道補修プロジェクトのはじまり
過去、石割山登山道はトレイルランニング大会のコースとして利用されていましたが、現在はコースから外れています。それでも、人気のハイキングコースとして利用者が多く、荒廃が進む登山道を何とかしたいと強く思う地元の方々の思いと、ご縁のあったNPO法人富士トレイルランナーズ俱楽部が、2022年春より環境省と協働で持続可能な方法により補修を始めることになりました。
過去レースに参加していたトレイルランナーや、昔遠足で登っていた地域の方々、様々なボランティアさんが「利用と保全を考える仲間」として参加しています。
このプロジェクトが自然環境を深く楽しく学べる場として、一般ハイカーの方々や地元で山に足を運ぶことが少なかった方々などの参加が増えることを期待しています。
■石割山登山道補修 実施箇所
※詳しくは本紙をご覧ください。
掲載した写真はごく一部です。
暖かくなったら、ぜひ石割山に出かけてみてはいかがでしょうか?
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