■膵(すい)のう胞(ほう)について
◇膵のう胞とは
膵臓(すいぞう)内に液体や粘液などを貯留する袋状の形態(のう胞)を示す病変の総称で、腫瘍性(しゅようせい)の膵のう胞と非腫瘍性の膵のう胞に分類されます。
◇さまざまな種類
腫瘍性膵のう胞の多数を占める「膵管内乳頭粘液性(すいかんないにゅうとうねんえきせい)腫瘍(Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm以下、IPMN)」という病気は、膵液の通り道である膵管内に乳頭状に増殖する腫瘍です。粘液を産生することで嚢胞状となり、膵臓の真ん中を流れる主膵管に腫瘍がある主膵管型、主膵管に合流する分枝に腫瘍がある分枝型、両方に腫瘍が存在する混合型に分類されます。良性から悪性までさまざまな段階があり、経過中に悪性になることもありますが、異なる場所に膵がんが発生するIPMN併存がんもあります。
IPMN由来がんはのう胞径が大きいほどリスクが高いものの、IPMN併存がんについては、のう胞径に関係なく発症することが知られています。
◇検査の方法
膵のう胞があることがわかったら、まずCTやMRIで膵管の形、病変の大きさや広がり、悪性所見の有無を評価します。精密検査が必要な場合は、超音波内視鏡検査で、のう胞の内部や膵管の状態を観察します。病変によっては入院して「内視鏡的逆行性胆管膵管造影法(ないしきょうてきぎゃっこうせいたんかんすいかんぞうえいほう)」という内視鏡を用いた検査を行います。
画像検査の間隔は6か月を原則とし病変のリスクによって3~12か月の間で調整しています。
膵のう胞は症状が無く、偶然発見されることが多い病気ですが、検査で疑われたら一度消化器内科を受診されることをお勧めします。
[市立甲府病院消化器内科 門倉 信(かどくらまこと)ドクター]
・平成14年山梨医科大学医学部卒業
・日本消化器病学会、日本膵臓学会専門医および指導医
・山梨大学医学部第1内科等を経て平成24年から当院勤務
問合せ:市立甲府病院
【電話】055-244-1111
<この記事についてアンケートにご協力ください。>