近年、全国的にイノシシ、シカ、アライグマなどの有害鳥獣による被害は、農林水産業や生活環境に深刻な影響を及ぼしています。人身被害も増加傾向にあり、イノシシに襲われ重大な事故に至った事例もあります。
今回は、市で行っている対策や個人でできる対策を紹介します。
■市が行っている対策
市内では、特にイノシシによる農作物被害が増加していて、令和5年度の被害額は約150万円です。市は、有害鳥獣に対するさまざまな被害防止のための取り組みを行っています。
▽可児市猟友会に有害鳥獣捕獲を委託
可児市鳥獣被害防止計画に基づき、可児市猟友会に有害鳥獣捕獲を毎年委託しています。令和5年度はイノシシを82頭、アライグマ・ヌートリアなどのイノシシ以外の有害鳥獣を82匹捕獲しました。
▽農作物被害を防止するための防護柵設置費を補助
イノシシ、アライグマ、ニホンカモシカ、ニホンジカなどから農作物被害を防止するため、野生鳥獣被害防止防護柵設置費補助金制度※1により、防護柵の購入・修繕に係る経費の一部を補助します。
※1 市に住民登録がある人で、所有または耕作する市内の農地に防護柵(電気柵、金網など)を設置または修繕する個人・法人に、市内業者から購入した防護柵または修繕に必要な資材の購入額の2分の1に相当する額(上限額1万5千円)を補助する制度。
▽特定外来生物捕獲用の小動物用箱わなの無料貸し出し
特定外来生物(アライグマ・ヌートリアなど)による農作物や家屋などへの被害を防ぐため、講習を受けた市民を対象に捕獲用の箱わなを無料で貸し出しています。
▽バッファーゾーン(緩衝帯)の整備
農作物被害を引き起こす有害鳥獣と人とのすみ分けを図るため、市では岐阜県の補助金を活用し、令和6年度に兼山、瀬田、土田でバッファーゾーン整備を予定しています。
■有害鳥獣を寄せ付けない環境づくり 個人でできる対策
被害を受けている農作物や集落に現れる有害鳥獣の種類によって個別の対応は異なりますが、まずはできることから始めてみましょう。
▽防護柵の設置をしましょう
可児市では農地への防護柵設置についての補助金制度があります。防護柵を設置することにより、有害鳥獣の侵入を防ぐことができます。ただし、農地以外へは補助金は交付できません。
▽畑の周りに野菜や収穫後の残がいを捨てないようにしましょう
これらは人間にとってはごみでも、有害鳥獣にとってはごちそうです。畑の防護柵のすぐ外に捨てると、近くまで有害鳥獣をおびき寄せてしまいます。地面に埋めるなどの対策を行いましょう。
▽果樹の手入れを行いましょう
熟して落ちた柿などの果樹も有害鳥獣の餌となります。必要な果樹は剪定や収穫を適切に行い、必要のない果樹は伐採しましょう。
▽稲刈り後に耕耘(こううん)しましょう
稲刈り後の秋から冬は、稲が再度伸びるので防護柵を設置したままにしておくか、耕耘(田畑を耕して雑草を除去)しましょう。稲刈り後と12月に入ってからの2度耕耘を行うと雑草が生えにくくなります。
■もしもイノシシに出会ったら…
▽刺激しない
大声を出したり、物を投げたりしてはいけません。
▽イノシシの視界から隠れる
イノシシは動くものに反応します。ゆっくりと後ずさりするか、物陰に隠れましょう。
▽攻撃されると感じたら…
なるべく高いところに逃げましょう!!
走っても逃げ切れません
■地域の日常を守る可児市猟友会
「猟友会」は、狩猟免許を有する狩猟者を会員とし、狩りや有害鳥獣捕獲などを行う団体です。可児市猟友会の現在の会員は59人で、自分自身で田畑を守りたい、困っている地域の役に立ちたいなどの強い使命感を持って入会した会員が多くいます。市からの委託で有害鳥獣捕獲を行うなど、地域の日常を守る活動を続けています。
▽会員の高齢化が課題
有害鳥獣捕獲を行える会員の高齢化が進んでいます。有害鳥獣の個体数は増加傾向にあり、現状のままでは、これまで通りの捕獲を維持できるか危惧されます。
▽猟友会会員を募集
有害鳥獣により被害を受けるのは農業者だけではありません。自分たちの日常を守るために猟友会に入会しませんか。市では、狩猟免許取得支援補助金制度※2を設けています。
※2 市に住民登録がある人で、新たにわな猟免許を取得し、可児市猟友会・自治会長の推薦を受け、地域の捕獲活動をする意思のある人に、受験手数料・受講料・診断書料などの必要経費(上限額3万円)を補助する制度。
▽可児市猟友会会長の声
長谷川美好さん
可児市猟友会は県や市からの委託により、有害鳥獣対策に協力して農作物の被害の減少に努めています。市民から被害の相談があった場合は現地に行き、被害防止のアドバイスやわなの設置をします。捕獲できたときに、地域の人たちからの「ありがとう」の一言が私たちのやりがいになっています。初めての人でも会員がわなの仕掛け方や肉のさばき方などを分かりやすく指導しますので、興味のある人は、ぜひ一緒に活動しましょう。
問合せ:産業振興課
【電話】内2341
<この記事についてアンケートにご協力ください。>