■剣道は守破離の繰り返し
少年剣道教育激励賞を受賞
大内武志さんが初めて竹刀を握ったのは昭和47年、中学校2年生の時。体育館の倉庫にあった竹刀に憧れを抱き、当時廃部だった剣道部を再設立した。「指導者はおらず、本だけを頼りにひたすら竹刀を振っていた」と当時を振り返る。高校では本格的に指導を受けて剣道二段を取得。専門学校に進学後は剣道から離れたが、恵那に戻ってきたときに稽古をつけてもらい、もう一度始めようと決意した。49歳の時、当時合格率が低いとされる剣道七段に、何度か挑戦し、合格することができた。
25歳からは、師匠に誘われて指導する側にもなった。自分が教えたことが理解されて上達していくところにやりがいを感じた。指導をする中で一番大切にしていることは「守破離(しゅはり)」。守破離とは、型を忠実に守り、他の教えを取り入れて自分なりの技を身に付ける過程のこと。勝ち負けももちろん大事だが、楽しくやることが何より。楽しいから稽古が続けられて基本が身に付いていき、ある程度の苦労を耐えた後に強くなれる。少しつまずいたとしても、また基本に戻る。その繰り返しが実を結ぶ。
現在は、小学生から高校生までを三つのクラブで教えている。今でも本や動画を見て、どんな教え方をすれば良いのか常に考えながら指導している。「指導者は、作法や構えなどの正しい知識を熟知した上で、実践で使える技術を楽しく教えることが大切」と話す。
指導を始めて40年。自分の教え子が大きくなり、一緒に指導をしているクラブもある。令和5年にも、少年剣道の指導面で草の根的な活動を続け、剣道の底辺を支える団体を表彰する「少年剣道教育激励賞」に、自身が指導する中野方少年剣道クラブが東濃で唯一受賞した。
試行錯誤をしながら続けてきた剣道。自分だけの指導方法を確立するため、大内さんは竹刀を握る。
◆大内武志(おおうちたけし)さん(65歳)(恵那峡)
□プロフィル
岩村町出身。恵那剣友会の会長で、県剣道連盟恵那支部長を務める。令和元年には恵那剣友会少年部が、市内で初めて「少年剣道教育激励賞」を受賞した。趣味は、家庭菜園と温泉巡り。
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