文字サイズ
自治体の皆さまへ

地歌舞伎を楽しもう! ふれあい公演の魅力と歴史

1/26

岐阜県白川町

地域の方が自ら役者や助手として歌舞伎を演じる地歌舞伎。ただ演じるだけでなく振付・化粧・衣装から舞台の道具まで、すべて自分たちで準備するところに特徴があります。
岐阜県は、30を超える保存会が活動する地歌舞伎が盛んな地域として有名で、白川町もその例外ではありません。町内には、黒川地区の明治22年に建てられた東座で活動する『東座歌舞伎保存会』、廃校となった旧佐見小学校の体育館に常設の舞台を設置して活動する『佐見歌舞伎保存会』の2団体があり、昔からの伝統を守るため地歌舞伎の公演や施設の保存活動を行っています。
なかでも黒川地区の東座は加茂地区に現存する唯一の地歌舞伎小屋であり、毎年5月の第3日曜日には地元住民たちによる地歌舞伎『ふれあい公演』が開催されます。今年は5月19日(日)に開催され、毎年恒例となっている黒川小学校の6年生による『寿曽我対面』や、生き別れた母子が対面する『良辨杉由来』などが披露される予定です。小学2年生から80歳代までの地域住民が一体となって舞台をつくります。
今回は東座歌舞伎保存会の方にお話を聞き、これまでの歴史を振り返りながら地歌舞伎の魅力を解説していきます。「歌舞伎を見たことがない」という方でも気軽に楽しめる地歌舞伎ならではの楽しみ方や、今年のふれあい公演の見どころをお聞きしました。ぜひ会場に足を運んで、白川町の伝統が詰まった地歌舞伎を楽しみましょう!

■東座の歴史
明治22年(1889年) 舞台部分完成 こけら落とし
明治33年(1900年) 客席部分完成
昭和50年頃(1975年頃) 東座保存会設立
昭和60年(1985年) 修復作業スタート
平成3年(1991年) 修復完成 ふれあい公演開始
平成4年(1992年) 初代名誉館主 十八代目中村勘三郎丈就任

■初心者でも大丈夫! 地歌舞伎だからこそできる楽しみ方って??
(1)歴史ある空間を味わう
明治22年に建てられた『東座』は改修工事を経たものの、当時の梁などはそのまま残されています。客席は1階と2階にあり、傾斜がかかっているため後ろの席でも見やすいようになっています。少し早めに会場に行って、好きな席を探してみるのもおすすめです。
寄付者の名前が書かれた提灯や札、昔の写真など、会場内に飾られたいろいろなものもぜひチェックしてみてください。

(2)客席の雰囲気を楽しむ
役者と観客が顔見知りだからこそ生まれるアットホームな雰囲気が、地歌舞伎ならではの特徴。演技はもちろん、周りの観客の掛け声を聞いてみましょう。
また会場ではお弁当や五平餅が販売されており、『東座』内で飲食をすることも可能です。みんなで畳の上に座って、地域ならではの雰囲気を感じながら食べる郷土料理はきっと格別な味がするはず。

(3)おひねり
おひねりとは、紙に小銭を包んでご贔屓(ひいき)の役者が登場した時や、見得を決めた瞬間に客席から投げるものです。会場では小銭を包む色のついた折り紙が販売されています。
5円玉、10円玉、100円玉などを1枚だけ包んで投げるのが一般的ですが、大切なのはあくまで気持ちです。金額はあまり気にせず、自分も公演に参加するつもりで用意してみましょう。

■予習をしてふれあい公演に行ってみよう!
東座歌舞伎保存会会長の安江充です。地歌舞伎の魅力は何といっても『舞台と客席の一体感』です。役者が顔見知りの人ということで、掛け声があり、おひねりが飛ぶ光景は地歌舞伎ならではです。
本年は小・中学生が多数出演しますし、大人は80歳まで出演します。地域が一体となった『ふれあい公演』に、ぜひご来場ください!

(1)良辨杉の由来(りょうべんすぎのゆらい) 二月堂(にがつどう)の場(ば)
幼い頃、鷲に連れ去られ杉の木の上に置かれ、その後東大寺の高僧となった子と、30年我が子を探し続けた近江国の百姓である母の再会を描いた演目。
親子が、身分差を越えて対面する場面は多くの人の共感を呼ぶ名場面で必見です。

▽田口明代さん
母『政』を演じます。老婆ということで、言葉の言い回しやイントネーションが独特です。おばあさんになりきれるようにがんばります。

(2)白浪五人男(しらなみごにんおとこ) 稲瀬川勢揃(いなせがわせいぞろ)いの場(ば)
悪事がばれて逃げる5人が、桜咲く稲瀬川の堤で捕手に囲まれるとそれぞれ名乗りをあげ、後の再会を約束して逃げていくという名場面を描いた演目。
黒川中学校2年生の全員で披露します。リズム感ある五人男の名乗り台詞や、力強い大きな見得が見どころです。

▽児嶋朔さん
五人男の一人『弁天小僧』を演じます。台詞が多くて大変ですが…がんばります。自分の名前を名乗る長台詞の場面をぜひ見て欲しいです。

(3)寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
曽我十郎・五郎の兄弟が、父の敵(かたき)である工藤祐経(つねすけ)と対面する演目。曽我兄弟の敵討ちに関する物語を脚色した『曽我物』と呼ばれる作品のひとつ。
こちらは30年近く続く伝統として、毎年、黒川小学校の6年生による演目です。小学生の演技にご期待ください。

▽藤井優依花さん
曽我兄弟の弟『曽我五郎』を演じます。衣装の裃(かみしも)を脱ぐ”肌脱ぎ”の場面がカッコいいので、ぜひ注目して見てください。

(4)富士三桝孝子誉(ふじのみますこうしのほまれ) 由比ヶ浜(ゆいがはま)の場(ば)
父の罪により由比ヶ浜で処刑されそうになる幼い兄弟が救われるという演目。こちらも上記(3)と同様、曽我兄弟をモチーフにした『曽我物』のひとつ。幼少期は一万・箱王と名乗っています。
兄弟を黒川小学校2年生の双子の姉妹が演じます。かわいい2人の演技にぜひご注目ください。

▽纐纈英樹さん
兄弟の継父『曽我祐信』を演じます。兄弟を切ろうとするも切れない場面は、台詞がなく動きだけで葛藤を表現するのですごく難しいです。

■2024年『ふれあい公演』について
日時:2024年5月19日(日) 開演11時 終演16時30分予定
場所:芝居小屋『黒川東座』 白川町黒川1584-2
駐車場は誘導員の指示に従い、東座駐車場『鱒渕公民館』をご利用ください。
入場料は無料です。ご祝儀の受付を行っています。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU