現在、市は福祉分野を中心に「誰もが役割と出番を持てる地域」、「支援の受け手と支え手という関係を越えた関係性の生まれる地域」、「制度や職種による縦割りの弊害が少ない地域」を「地域共生社会」と位置付け、その実現に向けて取り組んでいます。
地域共生社会の実現のため、国は、自治体に「包括的支援体制の構築」を求め、そのための手段として、重層的支援体制整備事業を推進しています。そして、市においても令和6年度から、この重層的支援体制整備事業をスタートしました。
この特集では、事業の紹介とあわせて、事業に関わる人たちへインタビューを行いましたので、ご覧ください。
・質問
重層的支援体制整備事業とはどういった取り組みですか?
・答え
福祉ニーズは、多様化・複雑化・複合化しています。それらに対応するため、従来の福祉の仕組みを一体化し、どのような状態の人にも対応し、地域とつながることのできる支援体制や地域づくりを可能とする手段の一つです。
・質問
これまでと何が変わったの?
・答え
支援を必要とする人の属性(子ども、障がい者、高齢者、生活困窮者など)にとらわれることなく関わりを持ち、その人が地域の中で「必要とされている」と感じる地域づくりを展開できるようになりました。
■[Why?]これまではなぜできなかったの?
これまでの福祉の仕組みは、「高齢者は高齢者」「障がい者は障がい者」と縦割りによって発展してきました。そのため、複合的な課題(8050など)を抱えた世帯への関わりや多様な人々(高齢者と子どもなど)が集まる機会を設けることができず、単独の分野で完結してしまい、連携・協働・共創が生まれにくい状況でした。
■重層的支援体制整備事業を支える五つの取り組み
▽多機関協働事業
複合化・複雑化したニーズを抱える個人や世帯を支援するための協議およびチームづくり
▽アウトリーチ等を通じた継続的支援事業
社会資源などにつながりにくく、社会的な孤立状態のリスクを抱えている人へ継続的な関わりを提供する
解説:アウトリーチとは?
支援者が支援が必要な人を発見し、積極的に情報や支援を届けること
▽参加支援事業
住民や専門職が顔の見える関係づくりと役割と出番が生まれる居場所づくり
▽包括的相談支援事業
属性や年齢に関係なく相談を受け止めつつ、各支援関係機関と連携し、多様なネットワークによる支援を実施する
▽地域づくり事業
交流できる機会や他者と出会い、社会とつながる場を設けることで、互いに気にかけることのできる関係を作る
昨今の多様化した地域生活課題の解決・改善には、多様な支援関係機関の強みを持ち寄りながら、スクラムを組んで支援をしていくことが必要不可欠です。また、相手の立場や状況を考慮しながら、お互いの価値観や専門性を尊重し、支え合っていく関係性を育むためには、「対話と共感」が大切です。
市では、この事業を用いて、個人や家族に対する支援を通じながら、地域の中に、他者を気にかける緩やかな「共感の輪」が連なっていくように努めていきます。市内のあらゆるところに「心地よい連携・協働・共創」が生まれ、誰もが安心して暮らせるようなまちを目指していきます。
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