多様化する社会において、職場や職種の垣根を超えた支援が求められるようになっています。
今回の特集では、美濃加茂市の新たな支援の形「発達支援センター」について紹介します。
■「発達」を支える意義を考える
発達支援とは、人が成長していく中で、「大切にされている」と実感できる人たちとの交流などを通じて「自分らしさ」を育めるお手伝いをすることです。市では発達支援について、令和6年度より市が抱える課題を単独の部局などで解決を考えるのではなく、多様な分野や機能、性質を持つ人や組織を結集し、支援していく体制を整備することを目指すため、市福祉課内で「発達支援センター」の取り組みを開始しました。
「発達支援センター」という響きからは、一般的に「発達の凸凹(でこぼこ)」や「発達特性による生きづらさを抱える人」を支援の対象としているイメージを抱くかもしれませんが、市の「発達支援センター」では、それらの限定的なイメージを想定した取り組みではありません。発達の語源には「包みを解いていく」という意味があります。このことから、市は発達支援センターでは、市民一人一人の中には、無限の可能性と魅力が存在しているということを前提にして、「本人や家族と関わる周囲の人々や地域が、一人一人の可能性と魅力を引き出していくことができるような、豊かなつながりや関係性を支えていく」という方針を掲げました。
また、支援する側、される側という関係性ではなく、お互いを対象とし、お互いに気に掛ける関係性が生まれるように働きかけることで、「支援」というよりも「関わり」を家庭や学校などの地域で広げていくことを目標としています。
人が主体的かつ自発的に生活を営み、お互いに関心を持ちながら魅力的な地域を育むためには、人と地域のつながりが必要不可欠です。さらに、その関係性の中で、安心感や安全感、信頼感を形成し、共感し合い、互いによい影響を与える関係を育むことが、人とまちが共に発達していくことにつながっていきます。
そのため、発達支援センターでは、個別の支援と地域づくりを一体的に行いながら、人とまちの豊かな発達を支えることができるように、多様な機関をつなぎ、重なり合うセーフティーネット(※)を構築しながら、孫子の代まで住み続けたいと思える持続可能な美濃加茂市を育んでいきたいと考えています。
◇発達支援センター機能の体系
■教育と福祉の連携を推進する
福祉の分野では、発達支援についてさまざまな支援制度や機関がこれまでに整備され、それぞれに専門性を深め、個人や世帯の困り事に対応してきました。
しかし、より良い支援体制を整備するには、「教育と福祉の連携」は必要不可欠でした。
そのため、まずは、「教育と福祉の連携」を推進することを重点として捉え、学校と密に連携を図りながら、児童生徒の困り事や学びづらさの解消に向けた支援を進めます。
また、児童生徒が過ごす家族の困り事への支援を通じて、家族と学校の連携をさらに強化していくための架け橋のような役割を担う「スクールソーシャルワーク機能」を整備することとしました。
◇セーフティーネット
関係者が相互につながり、関わり合うことで、誰一人として取りこぼさないよう安心と安全を提供するネットワークを意味します。
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