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【市長のコラム】愛Cityはしま 第110回

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岐阜県羽島市

■「羽島市『ゼロカーボン』を照準に」
羽島市長 松井聡

羽島市では11月上旬、25度以上の気温が計測される夏日がありました。今年の夏、全国各地でも記録的猛暑となり、電力危機の発生が心配されました。
幸い、電力需給ひっ迫注意報や警報等が発令されることはありませんでした。国が電力需給を最も懸念した、東京電力所管エリアにおける今夏の最大需要量は、7月18日の5525万キロワットにとどまり、想定された5931万キロワットの93%に収まったからです。
経済産業省は、6月に「2023年度夏季の電力需給対策」を公表。その中で、同エリアに対して特出しした次の施策が、電力需要の抑制につながったと思われます。
休止電源の稼働、デマンドレスポンス(電力需要量を供給量に合わせる)の調達、電源の補修点検時期の調整、無理のない範囲での節電、産業界や家庭への周知等。
ただし、これらの施策は、対症療法に過ぎません。我が国の電力危機は、2011年に発生した東日本大震災と東電福島第1原子力発電所事故による計画停電を受け、需給ひっ迫時における対応を12年にルール化したことが始まりです。
前日の午後6時を目途とし、他社からの電力提供を受けても、電力会社の供給予備率が3%を下回ると予測された場合、国から当該会社のエリアに対して警報が発令されます。22年3月のひっ迫警報は、同ルールに基づいて発令されたものです。
近年、我が国の電力消費者当たりの年間平均停電時間は、自然災害を除くと20分程度となっています。年間8760時間での比率は0・004%で、世界トップクラスの短さです。我が国より停電時間が短いのは、ドイツ、スイス、デンマーク等、数カ国しかありません。
22年に国内で発生した電力需給ひっ迫は、電力消費がピークとなる夏の猛暑日や、冬の厳寒日に起きたのではありません。電力消費の少ない時期を見越し、多数の発電所が行った保守点検実施時に、予期しない猛暑や寒波が襲来して発生しています。このような突発的な事態に対しては、原発の再稼働や火力発電所新規建設は功を奏しません。
急がなければならないのは、対症療法ではない電力危機への根治策転換です。羽島市も2021年、ゼロカーボンシティ宣言を行い、国が掲げる30年度での温室効果ガス13年度比46%削減目標に向け、公共施設への太陽光発電設備導入を進めています。多くの企業・団体も、国の目標に合わせたカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)計画を作っています。
目標実現には、中長期の適正な電力需給の見通しが必須です。局面打開に向け、国の速やかな対応を切望します。

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