「能」は室町時代に成立した日本の伝統芸能で、現代でも全国各地で演能が行われています。
市内でも、古くから春日神社で能を行った記録が残っており、江戸時代に町の有力者が行った能には、独自のルールが定められていたことが分かっています。
11月8日、このルールに則った能狂言公演が春日神社能舞台で行われます。今回の特集ではこの能狂言公演を前に、国の重要文化財に指定されている春日神社の「能狂言面」「能装束」に注目し、調査に携わった専門家のインタビューを交えて特集します。
◆関市と能
「刃物のまち」関市の中心市街地に所在する春日神社。この神社の近くには、室町時代の鍛冶職人の町があったことが発掘調査で判明し、中世から刀鍛冶との深い関わりがあることがわかりました。
春日神社には、国の重要文化財に指定されている「能狂言面」61点(指定名称木造能狂言面附木造古楽面)と「能装束」63点(指定名称能装束類)をはじめとする貴重な文化財が大切に保管されています。春日神社の能の記録で最も古い﹁関鍛冶累代之系図﹂の若挟守氏房の添書からは、16世紀中ごろには神事能※が行われていたことがわかっています。また神事能を関七流の鍛冶が務めたことが記されており、春日神社・関鍛冶・能は深くつながりをもっていたと考えられています。
※神事能…神社の祭礼に催す能楽
◆春日神社と能
能は室町時代に成立した日本の代表的な古典芸能で、独自の様式を磨き上げてきた現代に生きる世界の演劇の一つです。能は中世に観阿弥・世阿弥によって大成し、江戸時代に現在の形式が成立した芸能ですが、関の刀鍛冶に祀られてきた春日神社に伝わる能狂言面・能装束は、その様式が確立する中世以前の品々が多く受け継がれていることが特徴的です。
春日神社では神事能が江戸時代の終わりまで行われており、神事能以外にも民衆たちが自ら能を催すなど、広く親しまれていました。
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