市内で近所の工場の閉鎖や飲食店・生活に必要な店などが廃業してしまうという話を聞くことはありませんか。
国内の企業は約368万社(令和3年経済センサス‒活動調査)あり、そのうちの99%以上を中小企業が占めています。市内の事業所数は4,759社あり、その数は年々減少しています。中小企業数減少の背景には次のような問題が考えられます。
▽経営者の高齢化
東京商工リサーチ(東京都千代田区)が発表した令和5年「全国社長の年齢」の結果を見ると社長の平均年齢は63.76歳で、前年を上回り、年々上昇しています。また後継者不足などが要因となる「後継者難倒産」が429件と、こちらも年々増加しています。
出典:東京商工リサーチ2023年「全国社長の年齢」
▽後継者不在
関商工会議所が令和5年に行った「事業承継の実態に関するアンケート調査」によると調査対象事業者の36%が事業承継を希望しており、64%が「現在事業承継を必要としていない」または「廃業予定」と回答しています。さらに事業承継を希望している事業者のうち、約3割は後継者が決まっていないと回答されています。このことは、将来の後継者が見つからないという問題が深刻化していくことを表しています。
出典:関商工会議所「事業承継の実態に関するアンケート」
課題が解決されないまま事業所数の減少が続くと、地域経済・社会を支える貴重な雇用や技術が失われ、地域全体の産業競争力が低下し、地域経済への大きな打撃となります。市の産業を維持していくためにも、「事業承継」支援は重要な取組です。
これからも経営者の高齢化が進んでいく中、引退を考え始めたときには企業価値の低下や後継者が見つからないなど、事業承継がうまく進まない可能性があります。「廃業」を考える前に「未来へつなぐ」ことを選択肢の1つにできるように早期に準備していくことが大事です。
◆事業承継3つの方法
事業承継は経営者の思いや会社の状況、承継相手などさまざまな要素を考慮し、自分の会社にあった選択をすることが重要です。事業承継は大きく分けて3つのパターンに分類されます。
・親族内承継…経営者の親族を後継者とする承継
・第三者承継…MandA(企業や個人などの第三者が合併や買収をすること)などによる承継
・従業員承継…親族以外の役員や従業員への承継
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