~町内にある文化財を探訪してみよう~
【湯原辻堂(ゆばらつじどう)】
町指定重要文化財(建造物)
■解説
辻堂は、昔からその地の人々が信仰の場(仏堂)として、主に道のほとりに建てられました。人々の往来が盛んになる江戸期には、旅人の休息や宿泊に利用されるようになり、各地に「お堂」が建てられるようになりました。
湯原辻堂は、昭和57年度の調査記録で「起源に関する記録や伝承は特にない」とされていましたが、平成5年(1993年)の屋根修理の時に発見された棟札に「寛政(かんせい)7年(1795年)棟梁(とうりょう)難波久米八造」と記されていて、建造年が判明しました。過去の遺構(いこう)を残し、現存する茅葺(かやぶ)きとしては県下でも数少ない建造物となっています。また、厨子(ずし)の中には、釈迦如来座像(しゃかにょらいざぞう)のほかに、「南無久遠実成釈迦牟尼如来守護」と墨書(ぼくしょ)された木札も納められています。
■吉備中央町文化財保護委員からのワンポイントアドバイス
〔安達輝政(あだちてるまさ)委員〕
元々は、県道(旧松山往来)と町道の交わる三叉路(さんさろ)に建っていましたが、道路の拡張工事のために現在地に移転したそうです。辻堂の基本的な建築様式は、四本柱に壁なしの吹き抜け、床板張りに藁葺(わらぶ)き屋根、床面積がおおむね一間(約2m)四方とされています。
湯原辻堂は、かつてバスの停留所として使われていたころに、風よけの板壁が新たに張られたそうです。床板は、バス停のころには、中を抜いて腰掛けられるようになっていたそうですが、現在は、元のように復元されています。
お問い合わせ先:教育委員会事務局 生涯学習班
【電話】0866-56-9191
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