■人口減少と生活水準維持
奈義町の子育て支援は、若者に魅力ある町として子どもを産み育てやすい環境を整え、経済的支援や精神的支援に取り組んできました。これが子育てを楽しめる施策となり出生率上昇につながっていると分析しています。一方で、子どもの出生者数は、子どもを産む世代の女性の人数にもよります。適齢期の女性の人数が減れば、子どもの出生数は減りますし、結婚しない若者が増えると子どもの出生数も増えません。
先般4月29日、厚生労働省が、平成30年から令和4年の人口動態統計の出生数と死亡数、及び令和2年国勢調査の人口をもとに合計特殊出生率と、死亡の全国平均との比較となる標準化死亡比を公表しました。それによると奈義町の合計特殊出生率は1.81。男性の標準化死亡比は98.8、女性は96.1となりました。この標準化死亡比は全国平均を100としていますが男女ともに低くなっています。
さて、出生率が今まで奈義町が発表しているものと違います。そして高齢化率が全国より高い奈義町でも標準化死亡比が男女ともに低くなっています。これは、市区町村別の合計特殊出生率及び標準化死亡比が規模の小さな地域では、出生数や死亡者数の少なさに起因して数値が不安定になるため、小地域の指標の推定に有力なベイズ推定を用いて推定した数値が発表されているからです。したがって比較すべきでない数値の出し方の異なる数値の発表なのです。
奈義町が発表している合計特殊出生率は県の発表数値を用いており、令和元年は2.95、令和2年は2.21、令和3年は2.68となっており、この数値を用いていますので、どちらの数値も間違いではありません。
奈義町の高い出生率と出生者数ですが、出生者数はここ10年の平均で51人、5年平均では52人となっています。その出生数対応に考えなければならないのは、町出身者の外からの応援と地元に残る者の内からの支えです。若者が地元で就業し、福祉、医療、製造、運輸等の職に就き、地域を担う不可欠人材となっています。この若者たちが、高齢者や地域を支える基盤的人材となっているのです。
若者にとって魅力ある町とは?豊かな自然も、暮らしやすさも、安心できる医療も、温かい人との触れ合いも、伸び伸び遊べる文化も、チャレンジを支援してくれる地域も、そして産み育てやすい環境の子育て支援の充実と同じように、若者たちが地元でしっかりと生活基盤が築けるよう大切に育んで行かなければなりません。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>