■馬は大切な生き物
鹿やイノシシなどの動物の形を模した土製品は縄文時代から見られますが、馬を模した土製品が出土するのは、古墳時代以降です。なぜなら、馬は古墳時代のおよそ5世紀ごろに、朝鮮半島から連れてこられた動物だからです。それまで陸上を移動するには徒歩しかありませんでしたが、新しく馬という移動手段ができました。古墳を飾る埴輪(はにわ)にも馬が採用され、市内では日上畝山(ひかみうねやま)69号墳(日上)から、鼻と、背中から尻尾までの破片が出土しています。
土をこねて小さな馬をかたどった土馬(どば)と呼ばれる土製品も、5世紀から9世紀にかけて出土します。古墳時代は、古墳や住居などからの出土例が確認できます。古代になると、官衙(かんが)遺跡と呼ばれる国府(こくふ)など役所の遺跡の溝や川など、水に関連する場所からの出土例が多くなることから、古代は水の祭祀(さいし)に使われていたと考えられています。
市では官衙遺跡である美作国府跡(総社)と宮尾遺跡(宮尾)、弥生時代から奈良時代の集落遺跡である紫保井遺跡(紫保井)から出土していて、いずれも胴や尻の部分のみです。写真と図面は、紫保井遺跡から出土した土馬です。胴体だけが残っており、背中に鞍(くら)を貼り付けていた粘土の痕跡と、鞍を付けるための尻繋(しりがい)を表した線が刻まれています。
これらの遺物は、現在、津山弥生の里文化財センターで展示しています。馬のほかにも、土で作られた動物を紹介しています。ぜひお越しください。
問合せ:津山弥生の里文化財センター(沼)
【電話】24-8413
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