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ええとこいっぱい 津山自慢(42)

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岡山県津山市

■新たな発想で災害から身を守る膜天井 マクテン
地震などの災害時に、天井の落下リスクを解消するため生まれた膜天井「マクテン」。天井を屋根からつるのではなく、丈夫な膜を張って天井にする新発想で災害から身を守るマクテンについて、開発、製造・施工を手掛けるファインアートかわばたの牛垣伸彬さんに聞きました。

◇開発のきっかけは東日本大震災
ファインアートかわばた(下野田)は元々、屋根部分の膜材を含むテントを扱う会社でした。平成23年3月に東日本大震災が発生した時、被害の様子を目にし、自分も何かしたいと強く思いました。そこで着目したのが、天井でした。
建物の崩壊を防ぐための耐震化が進められていますが、内装に当たる天井には対策をしていない場合が多いです。その結果、建物は無事だけど天井が落ちてきて、中に住めないという事例をよく聞きます。東日本大震災の時も、天井が壊れ、つる金具などが床に大量に散らばっている避難所の様子が、テレビなどで報道されていました。「落ちない天井。万が一、落ちたとしても、人がけがをしない天井」を作りたいと思い、膜材で作る安全な天井の開発を始めました。

◇手探りでの挑戦
今まで膜天井といえば、空間を装飾するためのものでした。では「安全」な天井にするにはどうすれば良いか。誰にも分からない手探り状態からの挑戦でした。専門家と何度も話し、開発への糸口を模索しました。初めは、誰と話をしても「いつかやってみたい」止まりで、思うように前に進みませんでした。つやま産業支援センターに相談する中で、わたしたち膜材を作るテント屋が持つ、テントを引っ張る仕組みを発展させる方法があることに気付き、そこから一気に開発が進みました。設計事務所の先生や、金具を扱う専門家などでプロジェクトチームを作り、試行錯誤を重ねた末、丈夫で安全な天井「マクテン」が生まれました。

◇張る天井を当たり前に
マクテンは、つり材を使わず、壁に膜材をピンと張った膜天井です。軟らかくて軽く、丈夫な上に見た目もきれい。壁に膜を留めるので、施工時に足場が不要で工事が速いのも特長です。最近は、既存の天井の下にマクテンを張ってほしいという依頼も増えています。災害時、元の天井の金具などが落ちてきても、マクテンで受け止めることができる上、空間を区切ることで平常時の省エネにもつながります。「つる天井」から「張る天井」という発想を当たり前にし、いつ起こるか分からない災害から、多くの人の身を守りたいです。

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