令和5年4月、農業経営基盤強化促進法が改正され、令和7年3月までに地域農業の将来の在り方を定める「地域計画」の策定が義務付けられました。
農家の減少に伴い、農地を「農業を担う者」に集積・集約して地域農業を守ること、また、担い手がいない地域においても農地利用の方針を定めることが狙いです。本特集では、この「地域計画」の策定を通じて、地域とともに歩んでいく農業の将来について考えていきます。
■住田町の農業の現状
本町の農業を取り巻く現状についてですが、近年は農家の高齢化や後継者不足に伴う農業者の減少、耕作放棄地の増加が進んでおり、農業生産のみならず農地の多面的な機能の維持へも影響が出てきている状況にあります。
本町における人口は、昭和55年には9000人を超えていましたが、40年間で約4000人減少し、令和2年には5045人となっています。
また、農家戸数についても昭和55年は町内の総世帯数2290戸に対し、1265戸で全体の55%を占めていましたが、令和2年には町内の総世帯数
1981戸に対し、556戸で全体の28%にまで減少しており、農地が利用されやすくなるよう、農地の集約化などに向けた取り組みを進めていくことが喫緊の課題となっています。
・表1 町の総人口、農家数の推移 ※引用:農林業センサス
■「地域計画」ってなに?
地域における農業の将来の在り方などを明確化した「人・農地プラン」を元に、地域で話し合いをしながら「地域計画」を策定することが法定化されました。
この「地域計画」は、将来、地域の農地を誰が利用し、どうまとめていくか、各筆ごとの耕作者を「見える化」した「目標地図」を作成し、将来目指すべき農地利用の姿を示す計画です。
・「地域計画」のイメージ
・目標地図のイメージは本紙2面またはHPをご覧ください。
※目標地図は将来のイメージ図であり、農地の権利を設定するものではありません
■策定までの流れ ※地区ごとにスケジュールが違います
(1)現状の確認
まずは、農業委員会が中心となって農地の現状を把握します。
(2)目標地図(素案)の作成
(1)の現状と担い手の意向を踏まえて、農業委員会が中心となって目標地図の素案を作成します。
(3)農業者などの話し合い
農業者や関係者機関が参加する協議の場を設置します。(1)の結果や(2)で作成した素案などの資料を確認しながら、将来の農業のあり方や、誰がどの農地を利用していくのかなどを地域で話し合います。
(4)地域計画(案)の作成
(3)の協議結果を踏まえて、目標地図を含めた地域計画(案)を作成します。
(5)地域計画(案)の公告(縦覧2週間)
縦覧期間中に意見書の提出があった場合、内容を確認して必要に応じて、地域計画(案)を変更します。
(6)地域計画の策定、公表
令和7年3月までに、地域計画の策定、公表を行います。
町では、農林業振興会を単位として左表のとおり計画を策定します。そのうち、★マークが付いている4地区で先行して話し合いを行い、そのほかの7地区についても令和7年3月までに計画を策定・公表します。
■どんなことを話し合うの?
先行して計画を策定する4地区のうち、八日町・天獄地区では、次のような声があがりました。
▽農地利用のあり方に対する不安
・最近、太陽光パネルの業者から農地所有者への打診が増えている…
▽担い手の意向
・耕作地引き受けの余力があるので、八日町・天獄地区で依頼があればぜひ耕作したい…
▽担い手が継続して耕作を続けるために
・担い手が安全に働けるように農道や水路整備の負担を軽減してほしい…
■将来の農業を守るために
本町の農業が衰退していくと、耕作放棄地が拡大し、美しい農村風景が失われるだけでなく、野生生物の生息域拡大に伴う人身・交通・農業被害の懸念が高まるなど、農村生活への影響は避けられません。
地域で進もうとする農業の姿についてしっかりと話し合うことで、(1)担い手がいる地域では、筆ごとの耕作者を具体的にイメージしながら農地の集約を進め、次世代の担い手が引き受けやすくなること、(2)担い手がいない地域では、農地利用の方向性を再検討し、集落機能の維持を図ることにつながります。
「地域計画」は、将来の農業の計画であるとともに将来の地域の姿です。ぜひ、この機会に所有している農地の将来や地域のあり方について考えてみませんか。
問合せ:
農政課農業振興係(地域計画)
農業委員会事務局(目標地図)
【電話】46-3861
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