町が消滅可能性自治体に分類されたことを受け、これまで2回にわたり町の現状や取り組みに触れてきました。
町も人口減少に歯止めをかけるために、さまざまな施策を展開して、地域の人も地元や子どもたちを盛り上げようと奮闘しています。
特集「ヒロノのミライ」最終回となる今回は、本格的に動き出した「人口減少対策本部」での専門部会の様子を紹介します。また、町に戻ってきた人、町で生活を始めた人、いつか町に戻ってきたいと考えている人の思い、町の将来を担う子どもたちの思いを集めました。
「ヒロノのミライ」をどのようなものにしていきたいか、一緒に考えていきましょう。
■人口減少対策本部と、その中の専門部会とは?
人口減少対策本部は、急速に進む人口減少や少子高齢化を受け、持続可能なまちづくりを進めるため今年5月に設置されました。その中の専門部会は、現状分析や課題整理、新規施策の検討と立案を行うために、住民と町職員合わせて39人で構成されています。「雇用」「交流」「若者支援」「地域づくり」のほか、消滅可能性自治体の判断指標となる若年女性の減少に歯止めをかけるため、「若年女性支援」のグループを設置。5つのテーマでグループを作り、ワークショップ形式でテーマに応じた施策案を考えていきます。
左の写真(本紙参照)は、8月29日に種市庁舎で行われた「第2回人口減少対策本部専門部会」の様子です。
ワークショップでは、各グループ内でさまざまな意見が出されました。以下で、専門部会で出された施策案と、町職員から提案のあった施策案の一部を抜粋して紹介します(施策名や内容は、今後、実効性や費用確保の課題など多面的に検討して実施に向けて取り組んでいくものです)。
◆〔施策案〕「25歳のつどい」開催事業
「20歳のつどい」から5年が経ち、さまざまな経験をした25歳の町出身者が一同に会し、地元への愛着や同級生との繋がりを再構築することによってUターンや関係人口の増加を狙いとしたもの。
バーベキューや出身中学校対抗パークゴルフ大会などを行うとともに、地元企業や定住団地などの紹介をして、参加者に「町に住む・働く」という選択肢があるということを周知する。
◆〔施策案〕子育てファイナンシャルプランナーひろの
妊娠から子育てに対する町の支援事業や相談窓口などを、1冊にまとめて可視化することによって、実施しているサポートの周知に繋げることなどを狙いとしたもの。
子どもが大人になるまでに負担する費用をわかりやすくすることにより、子どもを持ちたいと思う夫婦がライフプランを立てやすく「子どもを産み、育てる」ことを身近に感じてもらえることも期待できる。
◆〔施策案〕その他提案のあった施策
・ひろの子ども学資金(18歳以下の児童手当を充実)
・リフォーム業者と連携した「空き家バンク」制度
・種市ICの優位性を活かした定住団地など宅地整備
・UIJターン就職希望者支援(就職活動費、引越費用など)
・事業者の情報発信やIT支援で事業規模や販路拡大へ
・婚活活動費支援、起業支援 など
◆〔施策案〕人と仕事・住居のマッチング
町内で働く場所を増やすため、求職者の考える「やりがい」や、希望する勤務形態(フレックス制度、時短勤務)など働き手のニーズを把握しながら企業誘致を進めることで地元雇用の増加に繋げるもの。
また、町内で単身者が住める手頃な物件を用意するほか、お試しで居住してもらう仕組みを考える。
○課題と期待
専門部会で行われたワークショップの中では、町の長所や短所を各グループで確認し、挙げられた課題を受け止め、人口減少に歯止めをかけられるよう期待を込めて施策案を検討しました。
そのなかで挙げられた人口減少の要因として、「働きたい業種がない」「単身者が住める手頃な物件がない」など、「町に選択肢が少ない」といった声が目立ちました。町に住む所や働く場所が少ないと、人生の岐路において「洋野町」が選ばれる可能性が低くなってしまうことになります。
このことは、人口減少によってさらに加速することが懸念され、これらの課題を解決するには自治体や企業の力だけでは難しいのが現状です。正解はそう簡単に見つかるものではなく、社会情勢によってゴールポストは動いたりもしますが、部会での検討を重ね、持続可能なまちづくりに向けて、より一層取り組みを進めていきます。
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