成年後見制度は、認知症や障がいなどにより認知機能や判断能力が十分でない人を支援するための制度です。
「難しそう」「自分には関係がない」と思いがちですが、同制度を知っておくことで、いざという時に大切な人やあなた自身の権利や財産を守ることができます。
■こんなときは成年後見制度の利用を
・高齢の母が通帳や印鑑を度々なくしてしまい、困っている。
・遠方に暮らす父が、悪質業者にだまされそうになった。今後が心配。
・自分がもし将来認知症になったときは、信頼できる人に支えてほしい。
・知的障がいのある子どもが安心して生活できるよう、支援してほしい。
▽成年後見人ができること
・福祉・介護サービスの手続きや契約
・保険料や税金の支払い
・預貯金の出し入れ
・入院や施設入所の手続き
・不利益な契約の取り消し など
▽成年後見人ができないこと
・掃除や料理などの家事
・買い物の代行
・介護 など
■成年後見制度の種類
成年後見制度には、大きく分けると次の2つがあります。
▽法定後見制度
対象:判断能力が不十分な人
家庭裁判所によって成年後見人などが選ばれる制度で、本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3つの制度が用意されています。
後見人として選ばれる人:主に親族や専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士)など
▽任意後見制度
対象:判断能力が十分にある人
判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ本人が後見人を選び、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。
後見人として選ばれる人:親族や友人など、本人が希望する人
■成年後見制度の活用事例
▼事例1
本人:Aさん…知的障がいがある40代男性
申立人:Aさんの母
Aさんの金銭管理や各種手続きは長年母親が行っていましたが、高齢になり手続きが大変なため、成年後見制度を利用しました。
後見人は家庭裁判所に一任しましたが、Aさんのことをよく理解し寄り添ってくれる人を選任してほしいと希望し、その結果、経験豊富な社会福祉士が後見人に選任されました。
▽申立人
手続きなど難しい部分を後見人にお任せすることで、負担が軽減し、今までより丁寧に本人と接することができるようになりました!
▽POINT
後見人の役割は、手続きや契約、財産に関することなどに限られますが、制度を利用することで、親族などが本人の身の回りの世話などに専念できるといったメリットがあります。
▼事例2
本人:Bさん…認知症がある90代女性
申立人:Bさんの亡くなった夫の妹
Bさんは夫と2人暮らしでしたが、夫が他界し、その後は夫の妹夫婦がBさんの世話をしていました。しかし、夫の妹夫婦も高齢であるため、成年後見人制度を利用。
親族で後見人になる人がおらず、家庭裁判所に一任したところ、市民後見人※と司法書士の複数後見という形で後見人が選任されました。
※市民後見人:後見人養成講座の修了者などから選ばれる一般市民
▽申立人
気がかりだった相続手続きや入所施設との対応などを後見人に引き継ぐことができ、助かりました!
▽POINT
後見人は1人とは限らず、専門職と親族、市民後見人などが複数人選任される場合があります。市民後見人は、地域住民の立場から身近に寄り添った支援が期待できるなど、新たな後見人の担い手として重要性が高まっています。
■成年後見制度を利用するには
法定後見制度と任意後見制度のどちらも家庭裁判所での申し立てが必要です。任意後見制度の場合、事前に公証役場で任意後見契約を結ぶ必要があります。また、制度の利用にあたり、後見人などへの報酬の支払いが必要となる場合があります。手続きに不安がある人は、盛岡広域成年後見センターにご相談ください。
同センターでは、成年後見制度を必要とする人が適切に利用できるよう、制度に関する相談の受け付けや利用のお手伝い、成年後見人の育成などを行っています。「成年後見制度を利用するための具体的な手続きについて聞きたい」「市民後見人として活動してみたい」など、気軽にお問い合わせください。
▽盛岡広域成年後見センター
〒020-0022 大通一丁目1-16岩手教育会館2階
【電話】626-6112【FAX】656-0612
窓口開設時間:平日8時半~17時半
※窓口での相談は要予約
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問合せ:長寿社会課
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