町ではフレイル予防のために様々な事業を行っています。本年度は「歩くのが大変」「立ち上がりが大変」という人を対象に「ステップアップはつらつ教室」を開催しました。岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座の作業療法士高梨先生と、一戸町NPOスポーツウェルネスの伊藤先生を講師に招き、7月から9月まで10回開催し、体力測定や筋力トレーニング、体操などを行いまいした。
フレイル fiailty:病気ではないけれど、年齢とともに筋力や心身の活力が低下し、介護が必要になりやすい健康と要介護の間の虚弱な状態のことです。
■こんなに成果が出るんです!
「ステップアップはつらつ教室」には13人が参加しました。皆さん熱心に取り組み、初回に比べて運動機能やお口の状態が良くなっただけでなく、会話が増えたり表情もやわらかくなっていき楽しみながら体操していました。運動機能やお口の状態の変化はグラフのとおりです。
▽お口の状態
かむ力が弱くなり、食べ物をかめなくなると「オ-ラルフレイル」の状態になります。それとともに、口内が乾燥しやすい、汚れや細菌が貯まりやすい、食べ物が飲み込みにくいなどの状態になったりします。
▽運動機能(単位:秒)
どの項目をとっても動く時間が短くなっており機敏に動けるようになっていることが分かりました。筋力やバランス能力が高ければ歩行は安定し、安心して歩くことができます。
touch and go:椅子に座っている状態から立ち上がり、歩いて戻ってくるまでの時間を計測。
▽握力(単位kg)
左右とも3kg以上の増加になっています。運動することで筋力が増強したものと思われます。握力や筋力が弱ると「ビンのふたが開けにくい」「買い物袋など重い物を持ち運ぶのが大変」といった状態になりやすいと言われます。
■あなたも「介護予防」
参加したみなさんが取り組んできた体操を紹介します!家で簡単にできることばかりなので、ぜひやってみてください。無理なく少しずつ続けることが大切です。
▽あしぶみ
目安:1日20回
足を高く上げてあしぶみをします。外に出る前などに実践!
▽つまさきだち
目安:1日10回
ゆっくりつま先立ちをして、ゆっくりおろします。椅子から立つときに実践!
▽スクワット
目安:1日3回
ゆっくり腰を下ろして、お尻が椅子につきそうになったらゆっくりと立ち上がります。食事の前後に実践!
▽30回かむ
たくさんかむことによって唾液がよく出て乾燥を防ぎます。また、口周りの筋肉が発達し言葉がはっきりするだけでなく脳の働きも活性化されます。
▽あいうべ体操
目安:1日10回
口呼吸を鼻呼吸に改善。インフルエンザ予防にも効果的とされています。
■NPOスポーツウェルネス 伊藤礼子(れいこ)先生
10回の開催で参加者にどのようにアタックするか悩みましたが、回を重ねるごとに参加者とスタッフが1つの目標に向かっていると実感しました。教室での体操より、家での取り組みが素晴らしかったと思います。「運動は薬。運動習慣は万能薬」体を動かせば、脳も心も動く。何もしなければ関節は固くなり、筋肉は減り、気力がなくなります。教室はきっかけに過ぎないので、無理せず体と心を動かして欲しいです。
■岩手医科大学 高梨信之(のぶゆき)先生
年齢を重ねてもイキイキ健やかに過ごすためには、食生活や運動はもちろん大切です。この他にも、いろいろな人と交流し会話をすること、趣味や日課を持つこと、何でもいいので仕事を持つこと、これらが高齢の方々の健康に良い影響になることが、日本の様々な研究からも分かってきています。しっかり食べて、ときどき運動、楽しく交流、これが健康長寿の秘訣です。
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