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〈第4回〉そうだったのか!がん専門医による抗がん剤のお話

19/31

島根県奥出雲町

[抗がん剤の副作用] 

今回が連載4回目、昔ながらの抗がん剤のお話をします。 
繰り返しになりますが吐き気・おう吐や抜け毛、感染症の合併、強いけん怠感など、『従来の抗がん剤』は本来強い副作用を伴います。『分子標的薬』や『免疫チェックポイント阻害薬』など副作用の軽い新しい抗がん剤が増えていますが、依然、従来の抗がん剤は非常に重要なお薬です。じゃあ、やっぱり強い副作用は不可避なのね、と思われるかもしれませんが、副作用対策も近年随分と進んできているのです。特に吐き気に対しては良い薬がどんどん出てきています。用いる抗がん剤によって吐き気のリスクは異なりますが、強い吐き気を催しやすい抗がん剤を使用するときは、あらかじめ超強力な吐き気止めを使うことで、患者さんに吐き気が出ないようにすることが可能となっています。30年前にはこの吐き気止めの種類が絶望的に少なかったのです。こういった副作用に対する策のことを『支持療法』と呼んでいます。『支持療法』の進歩が抗がん剤治療を支えているわけですね。 
しかし吐き気や感染症などに対しては有効な副作用対策が出てきていますが、いまだに抜け毛だけはどうにもなりません。これに関しては30年前と比べて変化がない部分です。しかしその分、医療用ウィッグ(わかりやすく言うとカツラ)の進歩があり、髪色や髪質、髪形などによって無数の種類があります。若い女性であっても自分に合った自然で違和感のないウィッグを利用できるようになりました。逆にウィッグを使っておしゃれを楽しむ方までおられます。また、髪の毛は治療が終われば、数か月後に必ずまた生えてきます。 
このように吐き気や抜け毛を代表にお話をしましたが、多くの部分でこの『支持療法』の発達がみられ、かつてのような副作用で苦しむことが(全くないとは言いませんが)少なくなってきているのです。 
次回は新しい薬剤、『分子標的薬』のお話をします。

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