平成18年1月15日にオープンした安来節演芸館。全国的な安来市のイメージとなっている「安来節」をキーワードに、本場の安来節が鑑賞できる場所として観光客誘致、伝統芸能の伝承と普及、市民への娯楽の提供など、複合的な目的をもって建設されました。
建設から年月がたち、空調設備などが経年劣化してきていたため、令和5年3月29日から休館し改修工事を行っていた演芸館では、新たな指定管理者を迎え、5月26日にグランドオープンします。
非日常の時を過ごせる場所へ、地域に賑わいを呼び込む場所へと生まれ変わる演芸館をお楽しみください。
■西尾館長にインタビュー
リニューアルした安来節演芸館で、新たに館長となった西尾俊也さんに、今後の安来節演芸館の展望等を伺いました。
▽観光客だけでなく、市民に親しまれる場に
生まれ変わった演芸館では、安来節の魅力発信を第一にしつつ、他の演芸や芸能などを取り入れ、いわゆる寄席(よせ)(さまざまな演芸を取り混ぜて上演する場所)として運営していきます。
具体的には、安来節が構成文化財の一つにもなっている日本遺産「出雲國たたら風土記」に着目し、関連する地域とのコラボ企画を実施します。
鉄の集積場として栄えた安来で育まれた安来節。その鉄の輸送元であった雲南地方や奥出雲地方とは深いつながりがあります。雲南地方の代表的な伝統芸能「神楽」とのコラボを通じて、安来節の唯一無二の個性を強調するとともに、お互いの地域での芸能交流を図ります。
また、花道や桟敷(さじき)(一段高くつくった見物席)といった演芸場風の設備を生かした落語や講談、地歌舞伎、能、映画などの公演・上映を検討しています。
今までとは異なる視点で新たな取り組みを行うとともに、引き続き、安来節の殿堂として安来節振興に向け活動していきます。市内外の皆さんに愛される演芸館を目指して参りますので、皆さん、どうぞお越しください。
▽特別公演企画第一弾 安来節と出雲神楽の競演
「神楽」とのコラボ企画として、初実施となる公演を6月に行います。
日時:6月2日(日)11時~12時30分/14時~15時30分
観覧料:一般1500円/小中学生800円
「海潮山王寺神楽和野社中(うしおさんのうじかぐらわのしゃちゅう)」が「簸ノ川大蛇退治(ひのかわおろちたいじ)」を演じます。海潮山王寺神楽は、およそ400年の歴史と伝統を持つ、出雲地方の代表的な神楽で、昭和36年に島根県の無形民俗文化財に指定されています。
この機会にぜひ、ご鑑賞ください。
■安来節演芸館基本情報
グランドオープン:5月26日(日)
営業時間:10時~17時(火曜日は休館日)
所在地:古川町534
安来節公演:土曜日・日曜日・祝日に1日2回 11時20分~12時/13時20分~14時
※20人以上の団体予約の場合、平日公演も行います。
観覧料:一般1000円/小中学生500円
(団体20人以上…一般800円/小中学生400円)
安来節保存会に所属する名人や師範が、熟練の技を披露します。
40分間の公演のうち、10分程度はどじょうすくい男踊りの体験コーナー。体験後に、安来節をもっとやってみたいと思った人は、安来節保存会(【電話】28-9988)に入会してみませんか。
問合せ:
安来節演芸館【電話】28-9500
観光振興課【電話】23-3111
▽グランドオープン特別企画
5月26日企画
・セレモニー(10時30分~11時)
・安来節特別公演(11時20分~/13時20分~、各40分)
平日安来節公演
5月27日(月)~5月31日(金)(5月28日(火)は休館)
▽安来節演芸館レストラン棟(テナント)「レストラン 月ノ和(つきのわ)」
営業時間:11時~16時(月曜日は休業日)
食事ラストオーダー 14時30分
カフェ 14時30分~16時
そば、うどん、海鮮丼などのメニューがあります。仕出し、弁当注文も受け付けています。
問合せ:【電話】28-8411
■施設のポイント
▽周囲と調和した外観
外観は、伝統的な芝居小屋がモチーフで、できる限り現代的な要素を排しています。田園風景のなかにとけ込むよう、瓦や木材は落ち着いた色合いに。安来節が全盛期を迎えた明治・大正時代にタイムスリップした気持ちで演芸を楽しんでいただきたいという思いが込められています。
▽木のぬくもりあふれる内観
建物は、平成18年度に「優良木造施設(現木材利用優良施設等コンクール)農林水産大臣賞」を、平成22年に「第12回公共建築賞優秀賞」を受賞。地場木材と地元大工の伝統的な技術をうまく活用した建築であること、地場産業の発展に寄与していることが高く評価されました。
▽市民・観光客に開かれたエントランス
エントランスホールの柱や梁(はり)は黒塗りで、煤に染まった年代物の屋敷のような、重厚感と懐かしさが同居した雰囲気が感じられます。
入って左手は観光コーナーで、観光パンフレットなどを配置し、中央には物販コーナー、付近に安来節や観光の動画が流れる大型ビジョンを配置。観光振興の一拠点として、付近の観光地への導線となる場にしています。
右手側は、地域の人にも親しんでもらえる市民テラス。机や椅子、無料Wi-Fiスポットを設置し、誰でも自由にくつろげる空間にしました。
▽本格的な演芸場
花道や山陰唯一の桟敷席がある本格的な演芸場は、エントランスと対比させ上品な白木作りに。畳敷きの客席はゆったりと腰を落ち着け楽しめます。
何よりも魅力的なのは、客席とステージの距離が近いこと。どじょう掬い踊りでのひょうきんな表情や銭太鼓での流れるような手の動きなど、近くで演者の動作一つ一つをじっくり鑑賞でき、一体感を感じるこの空間は、安来節を一層盛り上げます。
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