上定:こんにちは(すれちがう船に手を振る)。外国人の方が乗っていらっしゃる船でした。
福田:そうですね。多くの外国人観光客の方が堀川遊覧船を楽しんでいらっしゃいますね。
上定:松江市は、昨年2月に「MATSUE観光戦略プラン」を策定しました。そのコンセプトを「Authentic Japan『MATSUE』」つまり「ホンモノの日本があるまち・松江」としています。その最たるものが、国宝松江城と堀川遊覧です。海外から日本を訪れる旅行者には、日本ならではの歴史、伝統、文化、暮らしに触れたいという方が多いです。松江市は幸いにも戦火を免れ、わが国の古来からの情緒が感じられるまちであり続けています。400年前の松江城築城時からお堀の掘り割りも変わっておらず、堀川遊覧で当時の風情が満喫できるわけですね。
また、近年は、気候変動などの環境問題に感度が高い海外からの旅行者から、自然環境の保全に配慮した「エコツアー」や「サステナブル・ツーリズム」が求められています。電動化された堀川遊覧は二酸化炭素を排出せず、まさに江戸時代の環境が満喫できるわけです。観光戦略にも組み込んで松江市を世界にPRしていきたいと考えていますので、Hondaさんから環境にやさしい取組みをご提案いただけるとありがたいです。
福田:Hondaも、今回の実証実験で得た情報をもとに、この「モバイル・パワー・パック」の運用パターンを確立し、電動推進機から他のモビリティや新たな商品などを、松江市さんと一緒に開発できたら良いなと思っています。
上定:それはぜひ。「電動化」のニーズはたくさんありますので、堀川遊覧を起点にどんどんつなげていきたいですね。今はまだ一般的に、「電動化」のための充電に使用する電気は、7割程度が火力発電に由来するものです。電動化と同時に再生可能エネルギーの普及を図ることで、循環型社会の実現やカーボンニュートラルの達成をめざしていかなくてはなりません。排出した二酸化炭素を吸収する取組みまでパッケージにして考えていく必要があると思っています。そして、その方向性を、行政と民間企業と市民のみなさんと共有して進めることで、松江市が環境問題に対して積極的に取り組む最先端のまちであることを共通の価値観にしていきたいですね。そのためにも、なじみのある堀川遊覧船の電動化は、分かりやすい取組みの起点になると思います。
Hondaさんの電動水上推進機を大いに活用させていただき、松江市全体で「世界に誇る環境主都まつえ」をめざしていきますので、お力添えください。
福田:Hondaは、陸海空から宇宙までモビリティ事業を拡大すると宣言しています。その中で、脱炭素は必要不可欠な要素だと考えています。Hondaも現時点では、二輪や四輪などの陸上モビリティが中心ですが、今後は水上や空・宇宙にも挑戦する意志を段階的に表現していきたいと考えています。こうしたHondaの挑戦に松江市さんに協力いただいたことには、本当に感謝いたします。Hondaも全力で取り組み、「環境首都まつえ」の実現に少しでも貢献できればと考えていますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
■用語解説と脱炭素に向けた本市のその他の取り組み
◇カーボンニュートラル
地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を実質ゼロにしようという取り組みのこと。環境省は「2050年までに年間で12億トンを超える温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること」を目標とし、取り組みを進める地域を「脱炭素先行地域」として選定しています。本市は令和5年4月28日に選定されました。
◇サステナブル・ツーリズム
地域の自然環境や文化、伝統などを守りながら、地域資源を持続的に保つことができるような旅行や観光業の取り組み。特に「環境」「文化」「経済」の3つの保護と発展が軸となった観光形態のこと。
◇本市のその他の取り組み
国宝松江城とその周辺エリア、松江しんじ湖温泉エリア・玉造温泉エリア・美保関観光旅館エリアで取り組みます。詳しくは市HPをご覧ください。
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