◆第6回 藻場の新たな役割ーブルーカーボンー
今回は、藻場の新たな役割である「ブルーカーボン」についてお話しします。ブルーカーボンとは、海洋生物のはたらきによって海洋生態系内に吸収・貯留された炭素のことです。
ブルーカーボンは2009年の国連環境計画(UNEP)で発表され、その当時、マングローブ林や塩生湿地とともに海草(アマモなど)の藻場がブルーカーボン生態系の対象でした。最近では、海藻(ツルアラメやノコギリモクなど)の藻場もブルーカーボン生態系とみなすことができる科学的知見が増えています。さらに、二酸化炭素(CO2)吸収源としてノリやワカメなどの海藻養殖の活用が検討されています。
海草や海藻は、光があたると陸上の植物と同じように光合成によって海中に溶けているCO2を吸収し、海中に酸素(O2)を供給して体の中に炭素を貯めて生長します。波浪などで切れた体の一部は海底の砂地への堆積(図)や深海への移動などにより、炭素として長期間貯留されます。
次回は、ブルーカーボン生態系である藻場によるCO2の吸収・貯留プロセスについてもう少し詳しく説明します。
執筆:水産大学校・村瀬 昇
問い合わせ:西ノ島町役場 産業振興課
【電話】08514-6-1220
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