桃山学院大学名誉教授の寺木伸明(のぶあき)さんを講師に招いた「邑南町人権講演会」が7月17日、健康センター元気館を主会場に、「近世被差別部落の生業(せいぎょう)の実態~皮革(ひかく)産業の歴史と差別から学ぶこと~」と題して開催されました。寺木さんは、被差別部落の形成過程や皮革産業が時代ごとにどのように捉えられていたかについて解説しました。
寺木さんは、部落差別について理解するには、起源を探ることが重要とし、実際の歴史資料をひもときながら、部落差別がどのように形成されていったかを説明しました。
また、大乗(だいじょう)仏教の教義に基づいた牛馬肉のと畜などを忌避(きひ)する「穢(けが)れ観」が、古代日本で広まった結果、皮革産業に従事する人間への、職業差別が始まったと解説しました。
その後、戦国時代に入って、平等主義を掲げる浄土真宗が広まり、門徒による一向一揆(いっこういっき)が各地で発生したことで、支配者層が身分統制をかえって強化したことが、従来型の職業差別から、身分差別に変化した契機だったと結びしました。
講演会は、矢上公民館と阿須那公民館をオンライン中継でつなぎ、合計約300人が聴講しました。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>