薬剤科 周藤和真(すとうかずま)
私は、雲南市立病院で薬剤師として働いています。入院患者さんの薬の調剤、説明、副作用対応のアドバイスなど院内の業務だけでなく、「スポーツファーマシスト」の資格を有しており、院外活動にも励んでいます。
■皆さんは、スポーツファーマシストを知っていますか?
薬剤師の仕事は病院や調剤薬局で活動しているイメージが強いですが、専門的な分野で業務とは別に活動をしている薬剤師もいます。その一例がスポーツファーマシストです。
正式には「公認スポーツファーマシスト」と言い、最新のアンチ・ドーピング※に関する専門知識をもつ薬剤師です。認定資格のひとつで、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の定めたカリキュラムを修了し、試験に合格しなければなりません。現在、薬剤師の全体の約3%とまだまだ希少な存在です。
(※アンチ・ドーピングとは「ドーピング行為に反対し、クリーンで公正なスポーツとして成り立つための教育・啓発や検査などの活動」のことです。)
■スポーツファーマシストの仕事の内容や役割とは?
スポーツファーマシストの重要な役割は「ドーピングからアスリートを守ること」です。ドーピングと聞くと筋肉増強剤のイメージが強いかもしれませんが、ドーピング対象物は身近なところに存在します。病院でもらう薬はもとより、薬局やドラックストアで購入できる医薬品、栄養補助食品の中にも、ドーピングの規制対象となる成分が含まれている場合があります。
私たちは、アスリートが風邪をひいたり、けがをしたりしたときに使用する薬や、筋肉をつける目的で摂取するプロテインなどに禁止薬物が含まれていないか相談にのり、適切な指導を行っています。
■うっかりドーピング!?
近年、意図的なドーピングではなく、うっかりドーピング(禁止成分が含まれているのを知らずに薬やサプリメントを飲んでしまうこと)が問題視されています。国民スポーツ大会などの大きな大会になると、ドーピング行為は重大なルール違反となり、選手資格やメダルの剥奪などの選手生命に大きく影響を及ぼす可能性もあります。スポーツ大会では、ドーピングの基礎知識を持つことは重要です。頑張りが無駄になってしまうことがないように、アスリートにとって身近な頼れる相談役として、スポーツファーマシストの活躍が期待されています。
■ドーピングからアスリートを守る以外にも活躍の場が!
以下のような啓発や周知の活動も積極的に行っています。
・学校などの教育現場で部活動に注力する学生へのアンチ・ドーピングの啓発活動
・地域住民への医薬品の適正使用について情報提供
・地域におけるスポーツファーマシストの存在とアンチ・ドーピング活動の周知
アンチ・ドーピングについて興味のある方はご相談ください。
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