今年は、全国的にクマによる被害や目撃情報が多く、雲南市内でも今年度すでに40件以上(7月末時点)の目撃情報が通報されています(令和5年度における全目撃件数75件)。
雲南市の鳥獣対策コーディネーターの山田稔紀(やまだとしき)さんにクマの生態や被害防止について話を聴きました。
◎鳥獣対策コーディネーター 山田 稔紀さん
・地域おこし協力隊として令和5年8月より着任
・鳥獣対策学習や追い払い・捕獲実務の支援などに従事
■人里でもクマが多く目撃されるのはなぜ?
クマが本来の生息地である山奥から人目に付くところまで下りて来てしまうのには、さまざまな要因があります。
これまでの時期(6、7月)は、若いクマが親離れする時期で、新たな生息地を求めて活動が活発になりやすく、好奇心に駆られて人里に近づいてしまいます。大人のクマにとっては繁殖期で、オスがメスを求めて動き回ったりすることで行動範囲が広がり、人目に付きやすくなってしまっていたと考えられます。
これからの季節(9月以降)は集落付近にある果樹に実ったクリや柿などに誘われて人里に下りてきてしまうことがあります。特に、「管理されていない果樹(放任果樹)」には、収穫されずに果実が残ったままになっていることが多く、クマをはじめとしてさまざまな野生動物たちを人里に誘引する大きな要因となってしまいます。
■果樹による誘引を防ぐためには?
自宅の庭先や所有している農地などに果樹がある場合は実が残ったまま放置せず、早めに収穫してクマが人里に出没する要因を排除するようにしましょう。
クマは大きな体をしていますが、木登りが得意な動物です。人では収穫しにくい"高いところの実"も登って食べるため、残さず収穫しておきましょう。
また、利用している果樹には地面から2m程度の高さまでトタンを巻いて木に登れなくしたり、周りに電気牧柵を設置したりするなど、近づけないための対策も効果的です。
管理や収穫をしやすくするために木の高さを低くしたり、利用していない不要な果樹の伐採もご検討ください。
■クマによる人的被害を防ぐためには?
人的被害を防ぐためには、"クマに出会わない"ようにする対策が重要です。
クマは積極的に人を襲うわけではありません。クマは人に出会わないように回避行動をとる事がほとんどなので、会話や音を察知して逃げていきます。
具体的には下記のような対策が効果的です。
・一人で山に入らない。
・「熊鈴」や「ラジオ」など音のなるものを携帯する。
・日頃から2人以上で会話をしながら行動する。
また、クマの痕跡を発見した場合、まだ近くにクマが潜んでいる可能性があります。できるだけ早くその場から立ち去り、林業振興課まで連絡をお願いします。
▼次のような場合はクマが襲ってくることがありますので注意してください。
・小グマを連れた母グマに出会ったとき
・出会い頭で人の存在に気付いたとき
引用:島根県ホームページ「クマの被害にあわないために」
■クマに遭遇したら
◯1 すぐ近くで遭遇したとき
命を守ることが大切です。
手で首を隠し、クマに背中を見せるように小さくかがみましょう。
・クマから首を守りましょう。
・背中にリュックサックがあると後ろをクマから守りやすいです。
◯2 近くでクマを見かけたとき
ゆっくり後ずさりして、距離を確保してから逃げましょう。
※大声を出して、走って逃げると逆効果です。クマが興味を持って追いかけます。
◯3 遠くでクマを見かけたとき
落ち着いて、静かにその場から離れましょう。
中山間地域に位置する雲南市では野生動物との関わりは避けられません。野生動物と人間が共存できるよう、正しい知識を身に付けて被害にあわない対策を心掛けましょう。
▼クマを目撃したら
林業振興課に通報してください。
【電話】0854-40-1056
目撃情報は安全安心メールや雲南アプリ、音声告知放送でお知らせします。
◆野生動物について学んでみませんか?
◯学習会の開催(要申し込み)
クマやサル、イノシシなどの野生動物の生態や被害防止対策等について学習会(出前講座)を行っています(対象:市内のおおむね10人以上の団体・グループ)。開催希望の方は林業振興課にお問い合わせください。
◯コラム記事
山田さんのコラムを市報うんなんに掲載しています。次回は12月号に掲載予定です。
※詳細は広報紙2~4ページの写真をご覧ください。
問い合わせ:林業振興課
【電話】0854-40-1056
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