【飯南病院便り】
◆胃がんとピロリ菌、除菌について
松江赤十字病院 研修医 平石直人
飯南町の皆さま、初めまして。研修医の平石直人と申します。私は普段松江赤十字病院で勤務していますが、地域研修のため8月の1カ月間飯南病院にて研修させていただきました。地域病院ならではのことも多く大変勉強になりました。今回、広報誌のコーナーを任せていただけるということで、皆さまに少しだけピロリ菌と胃がんについて知っていただければと思います。
日本人の2人に1人はがんになると言われる時代ですが、胃がんの罹患数は2020年のデータではがん全体で3位となっており、かなり頻度の高いがんと言えます。胃がんの原因の大半はピロリ菌という細菌です。ピロリ菌は免疫機能が未熟な幼児期に感染し、成人してからの感染はほとんどないと考えられています。感染経路はかつて上下水道が整備されていない時代には、井戸水などの飲水からの感染が主でしたが、現在は親から子への口移しなど家庭内感染が主になっています。ピロリ菌に感染すると胃の粘膜に炎症がおき、それが持続することで粘膜が萎縮します。その状態を萎縮性胃炎と言い、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの発生母地となります。
ピロリ菌に感染しているかどうかを知るには、胃カメラでその時点で胃がんがないかどうかを確認し、ピロリ菌がいそうかを観察します。また、血液検査など複数の検査法の中から1つ選び、感染しているかの判定をします。感染していれば3種類の薬を7日間内服することで多くの場合除菌することができます。
除菌で胃がんになるリスクが高くなっていくことは食い止めることはできますが、リスクがゼロになるわけではないので、除菌後も年に1回胃がんがないかの胃カメラ検査を受けていただくことをお勧めします。
胃がん・ピロリ菌の早期発見、早期治療のために胃カメラの検査を一度考えてみてはいかがでしょうか。
問合せ:
飯南病院【電話】72-0221
来島診療所【電話】76-2309
保健福祉センター【電話】72-1770
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