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自治体の皆さまへ

【特集】防災を”自分ごと”として考えよう 自分と周囲のために安全確保を(1)

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広島県安芸高田市

3月に「清流の国ぎふ防災・減災センター」の村岡治道さんを講師にお招きして、防災講演会を開催しました。梅雨入りを控えた今、一人一人が安全確保するための考え方について、改めてお話を伺いました。

・村岡治道さん
岐阜県内で市民・防災リーダー、園児、市議会議員、警察官・消防職員など、さまざまな年齢・職業の方を対象に、講演や研修の講師、技術指導・助言を行う。岐阜県内での実績は約1,500回、延べ17万人に達する。

●避難しなかった場合の代償
寝たきりの家族やペットがいることを理由に、避難をせずに自宅にとどまる人がいます。しかし、自宅に水や土砂が押し寄せれば、家族やペットは自分の目の前でその中に埋もれ、亡くなってしまう恐れがあります。自らの判断ミスが文字通り「命取り」となるのです。

●過去の経験は通用しない
年配の方々の中には、「これまで何もなかったから大丈夫」と言う人がいます。しかし、地球の歴史は42億~47億年にも及び、人間の80歳は地球の歴史と比べるとまるで生まれたての赤ちゃんのようなものです。「これまで何もなかったから大丈夫」という主張には説得力がありません。さらに近年の気象状況の変化を考えても、これまでのデータは当てになりません。

●避難しないことで他人も危険に巻き込む
ハザードマップを見て安全確保の情報を確認することは重要ですが、地図からはスピードやタイミングは読み取れません。移動ルートや避難に要する時間を実際に試してみることが必要です。また、低い浸水エリアでも危険があることを理解しましょう。浸水の目安が正しいかの答え合わせは、実際の災害が起きないと分からないのです。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域は特に危険なため、すぐに避難しましょう。そこにいると死亡するか孤立する可能性があります。その場合、消防などの救助を待つことになり、他人に迷惑がかかることも覚えておいてください。土砂の中での救助は、命懸けの作業なのです。

●「脱出」にならないよう早めの避難を
避難とは、ドライブやお散歩の気分で出られるタイミングで移動することです。大雨で歩行が困難、道にゴミや木が流されて流水プールのようになっている状況で移動することは、避難ではなく「脱出」です。
警戒レベル3で高齢者避難とされていますが、これには要避難者の説得や準備の時間は考慮されていません。注意報などの情報が出たら、家族や近所の人などで連絡を取り合い、どのように避難を行うか段取りをしておくのが大切。
避難が遅れて、周囲の人を「脱出」の巻き添えにはしないでください。

●守りたいものが守れるかを問う
安全確保とは、大切なものを守ることです。命や家財道具など大切なものを守りたいとき、「守りたいものが実際に守れるかどうか」を自分自身に問うてみましょう。「難しいかもしれない」と感じたら、改善が必要なサインです。
また、逃げた場合と逃げなかった場合で、それぞれどんな物語の主人公になるかを想像してみてください。無事に避難したときのセリフと、避難せずに被災したときのセリフ、それぞれどのようなイメージが浮かびますか?
ハッピーエンドの主人公になるのか、悲劇の主人公になるのか。決めるのはあなた自身です。

●人間は危機管理できない生き物
私たちは、生命の危機に直面することなく生き延びることができた人間の子孫です。つまり、遺伝子レベルで、危機管理ができず能天気。災害が起きそうだという状況でも「きっと大丈夫」と思ってしまうのは当然のことなのです。自分は合理的な判断ができないと自覚しておくことが重要です。

●3月の防災講演会後に届いた質問に、村岡さんがお答えします。
◇大雨時、田んぼの様子を見に行く人が心配です…。
心配になったときこそが避難開始のラストチャンスです。「心配なら逃げましょう」と声を掛けて避難開始を促してください。このタイミングを逃せば「脱出」になります。

◇避難に不安や抵抗がある人の気持ちの理解、対応方法を教えてください。
「仲良しグループで早めの避難開始」「逃げなきゃ損」「今逃げればお得」と思わせるように工夫することも”アリ”だと思います。

◇自宅が「安全」と判断できれば「逃げない」という選択もあり得ますか?
条件付きであり得ます。「安全」の判断基準として「守りたいもの全て」を守ることが可能か?想定外が起きても後悔しないか?を厳しく自問してください。

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