■慢性腎臓病を予防しましょう
慢性腎臓病とは、尿に蛋白が降りること、もしくは腎臓の機能が60%以下に低下することが3か月以上続いた状態を言います。慢性腎臓病があると、将来的に透析治療が必要な状態に進行する危険性があるだけではなく、心筋梗塞や脳卒中が起こりやすくなるという危険性があります。
慢性腎臓病の原因として、高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病が注目されています。これまで生活習慣病は動脈硬化を起こして、心筋梗塞や脳卒中の原因になることが知られていますが、実は腎臓に対しても大敵なのです。
腎臓は血液をろ過して尿を作っています。ろ過を行っているのは、腎臓の表面近くにある糸球体という、非常に細い動脈からつくられたフィルターのような構造物です。この糸球体が左右の腎臓で200万個集まってたくさんのろ過を行っています。糸球体の細い動脈は非常にデリケートで、高い血圧、コレステロール、糖といった負担によって、容易にダメージを受けてしまいます。このことで、尿に蛋白が降りるようになり、この状態が長く続くと、糸球体がつぶれてろ過の機能が落ち、腎臓の機能が低下してしまいます。つまり慢性腎臓病があるということは、生活習慣病により血管の障害が起こっているサインであり、今後その障害が大きな血管に及んで、心筋梗塞や脳卒中を起こしてしまう危険性があるということです。
このことから、慢性腎臓病の予防には生活習慣病の改善が大変重要になります。健康診断で生活習慣病を指摘された方は是非治療を受けてください。現在生活習慣病で治療を受けられている方はしっかりと治療を継続してください。このことで、慢性腎臓病を予防できますし、慢性腎臓病がある方も、腎臓を守って機能が低下することを予防できます。ひいてはその先にある、透析治療が必要な状態になること、心臓病、脳卒中を予防でき、健康寿命を延ばすことにつながります。
尾道市では国民健康保険の方を対象に特定健診を行っています。特定健診では生活習慣病に加えて慢性腎臓病の診断項目もあります。慢性腎臓病の予防、早期発見の機会にしていただけたらと思います。
かつたにクリニック 勝谷昌平先生
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