開館:9時~17時(年末年始休館)
■フナクイムシは海のシロアリ
比和自然科学博物館地学分館に新しくガラスケースを設置し、備北層群から産出した大型の化石を展示しています。その中に西城川河床から発見された「フナクイムシ入り珪化木(けいかぼく)」を展示しています。
「珪化木」とは木が化石化したものです。土砂などに埋もれた木が膨大な年月をかけ、地層からかかる圧力により木の細胞組織の中にケイ酸を含有した地下水が入り込むことで、木が形を変えずに二酸化ケイ素(シリカ)という物質に置き換わったものです。水晶などと同じように硬くなり、年輪までも保存されます。
展示している「フナクイムシ入り珪化木」は、その名のとおりフナクイムシに食べられた木が化石となったもので、食べられた跡や巣穴が確認でき、フナクイムシそのものが化石になっている部分もあり、とても珍しいものです。
フナクイムシという名前の由来は、海の中にある木を食べることから、木で作られた船も食べられるのではないかという理由で名付けられました。フナクイムシの体はとても柔らかく、長いミミズのような姿ですが、その正体は貝の仲間です。先端についている2枚の貝で海の中の木を食べ、穴を空けるところから「海のシロアリ」と呼ばれています。現在は東南アジアなどに生息しているので、備北層群が堆積した1,600万年前頃の庄原はとても暖かい海であったことが分かります。
1,800年頃イギリスのマーク・ブルネルという技術者が、フナクイムシが巣穴にしている木の穴の中で、柔らかい体をどうやって守っているのかを観察し、体から出した体液により穴の周辺に石灰質の幕を張り、固めていることを発見しました。これを応用し、鉄の枠組みによりトンネルを掘り進むシールド工法を発明して、テムズ川の下を通るトンネルを完成させました。その後、改善されたシールド工法は現在もトンネルの掘削工事に使われています。
人間の生活を支える技術の基となったフナクイムシの技を見ることができる貴重な化石ですので、ぜひ、皆さんも当館へお越しいただき、ご覧ください。
問合せ:比和自然科学博物館
【電話】0824-85-3005
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