【第38回】府中町で体験、四国お遍路(24)正観寺(4)
正観寺の主な行事を2回に分けて紹介します。正観寺の1年は1月1日からの修正会(しゅしょうえ)から始まり、初護摩祈祷(はつごまきとう)を行います。護摩祈祷は本尊の前で僧が護摩木(ごまき)を焚(た)き上げ、祈りをささげる儀式で、広島カープの新井監督や會澤選手、堂林選手などが行いニュースになりました。1月18日は初観音(はつかんのん)です。正観寺の御本尊は聖観世音菩薩(しょうかんぜおんぼさつ)です。観音菩薩は様々な姿で広く人々を救う仏様です。毎月18日は観世音菩薩の縁日(えんにち)で新年最初の日を初観音といいます。
2月3日は星祭(ほしまつ)りで願い事を記して護摩祈祷する星供養節分会(ほしくようせつぶんえ)などを行います。節分は運勢の変わり目なので、星宿(せいしゅく)にもとづき一年の無病息災(むびょうそくさい)を祈り、運を切り開く開運、心の鬼を払う行事です。
4月第2日曜日は観音大祭(かんのんたいさい)です。御本尊供(ごほんぞんく)、火渡(ひわた)り、大柴灯(だいさいとう)護摩供法要を行います。唱えられる御真言は「おん あろりきゃ そわか」、御詠歌(ごえいか)は「ありがたや 小畠山の観世音 よるひるいつも かげの如くに」です。小畠山が歌い込まれているので府中町への移転後の作と分かります。火渡りは真言宗寺院を象徴する行で、現在は、広島市近辺では大聖院(だいしょういん)・極楽寺・福王寺・正観寺・道隆寺などで行っています。桧の枝に火をつけてその上を歩きます。まず先達が歩き、信者が続きます。
4月5月は十三詣(じゅうさんまい)りです。十三番目に誕生した菩薩の虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)は智恵と福徳(ふくとく)を司り知恵詣(ちえまい)り、または智恵もらいとも言われています。現在では小学校を卒業して中学校に入学する春に子供の多福・開運を祈る行事になっています。
6月21日は弘法大師の降誕会(ごうたんえ)である青葉祭(あおばまつ)りです。
府中町文化財保護審議会委員
菅 信博
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