■環境問題と人権
持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴール(目標)は、人権問題だけでなく環境問題も関連しています。環境と人権こそが、現代世界における最優先課題であり、両者は密接に関連しています。21世紀は「人権の世紀」であるとともに「環境の世紀」ともいわれています。20世紀は、科学技術が急速に発達し、私たちに多くの利便性をもたらした世紀でした。しかし、一方でその利便性と引き換えに、人体に悪影響を及ぼす物質の排出や、地球温暖化などの環境破壊の問題も起こりました。今世紀は、このような地球環境の問題に取り組んでいかなければならない世紀でもあります。
私たちが生きていくためには、人類の生存に適した地球環境の保全が必要です。ただし、そこには「人間が人間らしく幸せに生きていくための権利」、つまり人権が密接に関わっています。一つの国で排出された汚染物質が、他の国で環境被害を引き起こしたり、あるいは多くの国に関わる地球規模での環境破壊をもたらしたりします。地球環境の破壊は、一つの国だけでなく、多くの国の人々の人権に関わる問題なのです。これまでの社会は、経済発展を第一に考え、効率至上の経済活動を追求してきた傾向があります。地球温暖化の問題一つをとっても、資源との関わりを含め、様々な国家や企業の間に複雑な利害関係が山積みしているのが現状です。
今日では、これまでの経済効率を優先する社会ではなく、環境にやさしい社会や循環型社会が求められているといえます。言い換えれば、経済発展だけを求める社会ではなく、地球上のあらゆる人々の人権に配慮し、多様な人々と共生する社会が求められているのです。私たち一人一人ができるところから始めるためにも、地球環境の現状や課題についての正しい理解と認識が必要です。(人権について考える2022より引用)
■12月4日~10日は「人権週間」
令和5年12月4日から10日までは、第74回人権週間です。国際連合は、昭和23年(1948年)12月10日の第3回総会において、全ての人と全ての国とが達成すべき共通の基準として、「世界人権宣言」を採択しました。
世界人権宣言は、基本的人権尊重の原則を定め、初めて人権保障の目標や基準を国際的にうたった画期的なものです。採択日である12月10日を「人権デー」と定めました。
法務省の人権擁護機関では、人権デーを最終日とする1週間(12月4日から12月10日)を「人権週間」と定め、昭和24年(1949年)から毎年、各関係機関及び団体とも協力して、全国的に人権啓発活動を特に強化して行っています。
いじめや児童虐待、インターネット上の人権侵害、感染症や障害等を理由とする偏見や差別、ハンセン病問題など、様々な人権問題が依然として存在しています。
これらの問題の解決には、私たち一人一人が様々な人権問題を、「誰か」の問題ではなく、自分の問題として捉え、互いの人権を尊重し合うことの大切さについて、認識を深めることが不可欠です。この人権週間をきっかけに人権について考えてはいかがでしょうか。
■特設人権相談所を開設
人権擁護委員による特設人権相談所を開設します。相談は無料で秘密は守られますので、お気軽にご相談ください。
開設時間:午前10時~午後3時
問合せ:人権推進課
【電話】0823-43-1635
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