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自治体の皆さまへ

ウミガメNews LetterNo.23

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徳島県美波町

■「グレア」の影響
前回では、砂浜がここに在ることをウミガメに気づいてもらえていないのではないか、というお話をしました。ウミガメは月星の光で夜でも砂浜が薄明るく見え、一方、その背景は山や木々などで暗く見える場所を好んで産卵上陸するという報告があります。美波町では、皆様のご理解とご協力で毎年5月20日から8月20日のウミガメ産卵保護対策期間中に、夜間の大浜海岸への立入禁止、周辺での街灯の消灯や遮光、自動車の通行規制をさせて頂いています。おかげで、保護期間中の大浜海岸は暗く静かな環境になっています。ウミガメ保護監視員の皆さんと一緒に、ウミガメの上陸を待っている時に夜空を見上げると、美しい星空、よく晴れた日には天の川も奇麗に見えています。ただ、美しい星空は浜から海を見た方向に広がっていて、振り返って町を見た方向の夜空には、見える星の数が少なくなっています。これは天文観測の分野では「グレア」と呼ばれる現象で、空気中に漂う細かな塵や水の粒子に人工の光、特に空に向かって漏れる光が反射して起きる現象です。人里から離れた場所で、天文台の設置や天体観測が行われるのはこの「グレア」の影響を避ける為です。そこでウミガメが夜の砂浜を見つける時に、この「グレア」の影響を考えてみました。初めに、ウミガメが産卵上陸する時に砂浜が薄明るく背景が暗い場所を好むと紹介しました。この「グレア」の影響があると、砂浜より夜空の方が明るくなり、産卵上陸しない、またはここに砂浜が在ると気が付かないのかもしれません。人が生活する場所には、夜間の照明が必要です。しかし、ウミガメの生態を人の都合で変える事はできません。「ウミガメの聖地」美波町として、どちらかを諦めるのではなく、ウミガメと共存するために人が出来る事は何かを、引き続き考えて行きたいと思います。参考になるものとして、良好な照明と自然環境との共存の為に環境省が作成した「光害(ひかりがい)対策ガイドライン」があります。この中には、ウミガメなど野生生物への環境だけでなく、農作物・家畜、交通の安全から人の健康まで含めた、良好な照明環境が示されています。これを参考にして、町の照明や景観を維持しながら、奇麗な星空を見に来る観光客や大浜海岸で産卵するウミガメが、多く美波町を訪れてもらえたら良いなと思います。
館長:平手康市

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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」

■Question
アオウミガメは青くないのに、どうしてアオウミガメと呼ぶの?

■Answer
アオウミガメの英名はGreen(グリーン)turtle(タートル)(緑のカメ)です。これは体の中の脂肪が緑色がかかった灰色をしていることに由来します。日本名も同じ理由ですが、日本語では緑色を「あお」と呼ぶ習慣があり「あおうみがめ」の名前が付きました。

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