■低く、長く、隠す
ビーチリゾートで有名なアメリカ合衆国フロリダ州は、合衆国全体のウミガメ産卵地の約90%が集中する地域でもあります。リゾート開発が始まった頃は、まだウミガメの事は考えられておらず、夜も人工照明があふれた開発が進みました。しかし、1990年頃から、人工照明が産卵する親ガメやふ化した子ガメに影響する事が明らかになり、ウミガメに配慮した人工照明の使い方が考えられました。“Keep it Low,Keep it Long and Keep it Shielded”は、ウミガメ産卵地での人工照明の使い方を簡単に示した言葉で、直訳すると「低く、長く、隠す」となります。「低く」とは、照明を取り付ける高さを出来るだけ「低く」、光量も必要最小限に「低く」して産卵場に照明の光が届き難くする事です。「長く」とは、照明装置の形ではなく、光の波長を「長く」する事です。光の波長を「長く」すると、光の色は橙色や赤色になり、この色の光はウミガメへの影響が少ないことが判っています。最後の「隠す」とは、照明を消す事に加えて、照明が産卵場を照らさないように遮光板などを取り付ける事を示しています。大浜でも同じ考え方で照明の対策が取られています。例えば、大浜の道路の街灯は大人の腰から膝丈ほどに「低く」してあります。厄除橋、漁港の街灯や津波避難タワーには波長を「長く」した橙色の照明が使われています。そして、八幡神社境内の街灯には遮光板が取り付けられ、大浜に届いていた光を「隠す」工夫がされています。加えて、水試の窓は遮光をして頂き、城山テニスコートのナイター設備や薬王寺のライトアップは、ウミガメ保護対策期間中、夜9時以降は消灯して頂く事で照明を「隠す」対策が取られています。
館長:平手康市
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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦370-4うみがめ博物館カレッタ「質問係」
■Question
ウミガメには甲羅を触られた感覚がありますか?
■Answer
水槽を泳いでいるウミガメの甲羅の端をつかまえてタワシで洗っていると、気持ちが良いのかじっとしていることもありますが、器用に手足を使って、つかまえている人の手を払いのける事があるので、甲羅を触られている感覚はあるようです。
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