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うちのお医者さん[179]血液をサラサラにする治療について

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徳島県阿波市

土成町土成 医療法人博美会大野病院 大野孔文(おおのよしふみ)先生
血液をサラサラにする薬の服用目的として、主なものに抗血小板療法と抗凝固療法があります。
ケガをして出血すると、血管から血液が出ていきます。血液が出続けると生命の危険にさらされます。そのために出血を止める(止血)機能が体に備わっています。
出血を止める機能には「一次止血」と「二次止血」があります。出血が始まったらすぐに止めにかかるのが「一次止血」、その後さらに止血状態を強固にするのが「二次止血」です。
血液が外に出ていくことを防ぐ働きですが、血管の内側にも働きます。脳梗塞発症の確率が高まっている方や血管内治療が行われた方などは、血管の内側に対して不本意に働いてしまう機能を下げる必要が出てきます。ステント治療後に処方される抗血小板剤(バイアスピリンなど)は一次止血の機能を下げます。血栓性の脳梗塞予防に処方される抗凝固薬(イグザレルトなど)は二次止血の機能を下げます。
過去に積み重ねられたデータに基づいた薬剤の選択および使われ方をします。以前は観血的処置(出血を伴う処置や手術)の前後で休薬される機会も多かったのですが、必要で投薬されていた薬を休薬することで、良くない面が起こることも明らかとなってきました。そのため現在では、この処置の場合はどの期間休薬するか基準が設けられています。また場合によっては休薬自体しない方が良いと判断されることも増えました。一方、複数の薬剤を使用する場合には、出血リスクを考慮して、併用期間を短くする方向になってきました。効果の不足、効果の過剰の両面を考慮し、より個々の患者さんのそれぞれのケースに対して適切な使われ方がなされるように進歩しています。
薬も年々新しく高性能なものが登場し、過去の良い薬でも使い方が洗練されていきます。そういった日々の進歩を普段の診療に反映させることが患者さんの治療に必要で、ひいてはかかりつけ医の役割だと考えています。それは地域社会において皆さまの健康的な生活の維持への貢献にもつながっていると思っています。

このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。

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