文字サイズ
自治体の皆さまへ

しまなみ農業だより

26/31

愛媛県上島町

■カンキツ病害虫の冬季対策
果樹類は永年性作物のため、いったん多発した病害虫が樹上で越冬し、翌年の発生につながることはよくあることです。冬季にしかできない越年病害虫対策について解説します。

◇[1]主要病害虫の越冬場所
カンキツ類は、通年葉が茂る樹木です。樹上で越冬する病害虫も多く、越冬場所を知ることは防除を行ううえから重要です。主要な病害虫の越冬場所は表1のとおりです。

▽表1 主要な果樹害虫の越冬場所

◇[2]農薬以外による越冬病害虫の防除
レモンや雑柑類でよく発生するカンキツかいよう病は、夏以降に発生した秋枝での病斑が来春の重要な伝染源となります。発病枝は春までに枝ごと切除して焼却しましょう。カイガラムシ類が密生している枝は枝ごと除去するかブラシ等で虫体をこすって殺傷するとよいでしょう。

◇[3]農薬による防除
冬季のカンキツ類は、果実が付いている品種以外は、外観上、生育が停止しています。収穫後から発芽までの間の冬季にしか散布できない農薬について解説します。

(1)機械油乳剤(マシン油乳剤)
機械油乳剤は機械油を主成分とした昆虫の気門という呼吸器官をふさいで窒息させて殺虫する農薬です。
主にハダニ類の成虫や卵、カイガラムシ類の越冬虫に卓効を示します。機械油乳剤には95%製剤と97%の製剤があり、冬季には高濃度での散布が可能で他の殺虫剤で効果のないカイガラムシ類の成虫にも効果があります。ウメなどの落葉果樹や庭園木などにも冬季散布が有効です(ウメは花が咲く前まで)。

(2)ICボルドー66D
銅と石灰を調合した殺菌剤で、低倍率で発芽直前(3月前)に散布することで発芽後の新芽へのかいよう病の感染を防止できます。機械油乳剤との近接散布(2週間以上)ができないので計画的に散布しましょう。

◇[4]冬季防除での注意
(1)機械油乳剤
・散布後に葉、果実に油浸(油のシミ)が発生するので、必ず収穫後に散布する(時間が経過すると消失)。
・冬季(12月~3月)に2度散布をしない。
・衰弱樹には散布を控えるか97%製剤を3月に散布する。
・虫体にかからないと効果がないので幹などにも丁寧に散布する。
・翌年の花芽分化期の1月下旬~2月中旬に散布は行わない。

(2)ICボルドー66D
・果実に付着すると汚れるので収穫後の散布を厳守する。
・機械油乳剤との近接散布に注意する(先に機械油乳剤を散布して2週間以上開けてICボルドーを散布する)。
・かいよう病の出やすい品種のみ散布する(温州みかん、八朔などは不要)。

▽表2 カンキツ主要病害虫の冬季防除

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU