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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■カンキツ類の新品種について
カンキツ類の在来品種は現在150種を超えると言われ、ここ20年ほどで中晩柑類の新品種が次々と育成されてきました。愛媛県においても紅まどんな、甘平に続き、紅まどんなと甘平を親に育成された紅プリンセス(愛媛果試第48号)という新品種の栽培が始まり期待が高まっています。今回は、カンキツ類の新品種開発について解説します。

◇(1)カンキツの品種開発
昔からある品種(八朔や伊予柑など)の多くは、偶発実生と呼ばれる種から偶然生えた個体と考えられる来歴不詳の品種や、温州ミカンなどで多い栽培中の樹より「枝変わり」と呼ばれるひと枝だけ外観や熟期が異なる果実がなる枝が偶然見つかり品種登録したものがあります。また、異品種の花に花粉を付けて得られた種子を育てる交雑という育種方法による品種開発も古くから行われてきました。しかし、カンキツ主要品種の温州みかんは「多胚(たはい)種子」と呼ばれるひとつの種子に発芽能力のある胚種(はいしゅ)がいくつもあり、交雑した種の獲得効率が非常に悪いため新品種開発がなかなか進みませんでした。国立研究所で開発された温州みかんとオレンジの交配品種の「清見」が開発されたことで新品種開発が急速に進みました。この品種は、ひとつの種からひとつの個体が得られる「単胚(たんぱい)種子」であることから、交雑種子を効率よく得ることが可能となり、清見を母親にして多くの交雑品種が生まれました(図1参照)。現在も全国の公的な研究所ではその子や孫品種の交雑による新品種開発を行っていますが、お眼鏡に叶う品種がなかなか発見されないのが現実です。また、カンキツ類は種から発芽して得られた苗は、接ぎ木を行い結実期間の短縮を図りますが、それでも数年を要し、年に1回しか実を付けないため、果実品質の確認にも数年かかります。果実品質を確認してからも数年選抜を繰り返すため新品種の誕生までに20年近くかかります。新品種として世に出ても、栽培が減り消えていく品種も少なくありません。

◇(2)カンキツ新品種栽培の留意点
農作物の新品種は、育成権者が種苗法により種苗登録された後、皆さんが栽培できるようになります。近年、国内育成品種の海外流出が問題となり、令和3年4月に種苗法が改正され、法律により育成品種の海外持ち出し禁止が強化されました。
新品種の栽培には育成権者の許諾が必要ですが、JA等で購入した苗木は許諾を得て販売しているため栽培の手続きは不要です。しかし、今回の法改正により農家個人が自家増殖(例、購入した苗木から穂木をとり接ぎ木する)をする場合は育成元の許可が必要となり、1本あたりにつき許諾料を課せられる品種もあるので注意が必要です(育成元のホームページに記載あり)。

※詳細は本紙をご覧ください。

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