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しまなみ農業だより

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愛媛県上島町

■レモンの品種
料理や飲料に年中利用されるレモンは、上島町でも多く栽培しているなじみ深い果物ですが、スーパーに並ぶ商品の多くは輸入品の割合が高いのが現状です。黄色いラグビーボール状のカンキツといえばレモンをイメージできるようにレモンはどれを見ても同じに見えますが、実は多くの品種があります。今回はその一端をご紹介します。

◇1 レモンの品種の変遷
レモンはインド・ヒマラヤ地方が起源とされ、栽培は9世紀にアラブ人が記した書物にレモンの記録が最古とされ、その後、ヒトの往来により世界各地に広まったと言われています。寒さに弱い性質のためヨーロッパでは地中海沿岸、アメリカでは西海岸、中米ではメキシコやチリ、アジアではインド~東アジアなど暖かな海洋沿岸で栽培が定着しています。各地で系統選抜や交雑により多くのレモンの品種が作られてきました。岩城園地にあるものではビラフランカ、フェミネロはイタリア、ベルナはスペイン、マグレーン、カリスティーニはギリシャ、リスボンはポルトガルが原産地です。ユーレカの選抜種の多くはアメリカで育成されていました。見た目は遜色のないレモンですが、品種により形や香りの強弱に少しの違いがあります。特にオレンジなどの交雑種では色や形、かいよう病に耐病性などの特徴がありますがレモン特有の香りが弱いのが短所です。

◇2 主要品種の特徴
世界的にはリスボン種とユーレカ種の栽培が多いとされています。品種の特徴は表1のとおりです。広島県ではリスボンとビラフランカ、愛媛県ではアレンユーレカが主体に作られているように、長所短所を勘案して県の奨励品種となっています。ホームセンターなどで販売されている苗はリスボンが多く、樹勢が強く実のなり始める時期が遅い、トゲが多いなどが欠点はありますが多収で果実品質が優れます。ユーレカはレモンの中では樹勢が穏やかでトゲが短く、開花に四季咲性が強い特徴があり、作りやすく露地栽培や施設栽培に向きます。

◇3 その他のレモンの特徴
いくつかのレモンの品種について紹介します。写真1にあるマグレーンはユーレカによく似た果実です。ベルナは縦長の果実で大果となり皮がやや厚いが芳香が強く良質のレモンが採れます。両品種とも強勢でトゲが多く傷果や腐敗、かいよう病の原因になります。外観をあまり気にしない海外ではトゲは問題にならないのかもしれません。レモンとミカンの交雑種のマイヤーレモンは果形が丸く、成熟すると果色と果肉のオレンジ色が強い特徴があります(写真1)。また、レモンと日向夏の交雑種の璃の香はかいよう病に強く、大果となります。交雑の2種はいずれもレモンの香りが弱く、レモンでの販売が難しい品種ですが、9月頃から果汁が入るのでカンキツ果汁用品種としての利用が考えられます。変わり種では、ピンクレモネードという品種は丸い果実で緑と黄色の柄の外観と果肉がほんのり赤いためビジュアル的には目新しいレモンです(写真2)。香りがやや弱いですが、果肉の色とネーミングでカクテルなどの利用場面があるかもしれません。
最近のレモンについて、円安などの国際情勢や生産国の異常気象などで海外産の輸入レモン輸入量の減少など国産レモンには追い風が吹き始めました。なお一層、レモンの町、上島町産レモンの栽培に取り組みましょう。

※詳細は本紙をご覧ください。

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